共犯関係

生徒会室前。
そっとドアノブを掴もうとしたときだった。


「ねえ」


背後から、静かな声が聞こえてくる。
振り返れば、そこには生徒会仲間の書記、各務陽平もといよーへい君が立っていた。
その手には封筒が抱かれていて、それを手にしたよーへい君はそのまま俺に差し出してくる。


「これ。頼まれてたやつ」


「ありがと」と、小さくお礼を言えばよーへい君はふるふると首を横に振った。
早速、受け取った封筒の中身を確認すれば、そこには予めよーへい君に頼んでいたとある生徒の名簿が入っていた。

日桷和馬と玉城由良。
名簿に記入された名前を確認し、小さく息を吐いた俺はそのまま封筒に戻す。
中身はあとから詳しく確認しよう。


「…気になる?」

「へ?」

「転校生」

「ん、まぁ、そうかな」

「…あまり、関わらない方がいいと思う」


その一言に何気なくよーへい君を見れば、真っ直ぐな眼と視線がぶつかった。
よーへい君はすぐに視線を逸らす。
照れている、ようには見えない。


「心配してくれてんだ?ありがと」

「……」


ゆっくりと笑いかければ、よーへい君が何か言おうと口を動かす。
その次の瞬間だった。


「あー!なになに?なんか内緒話してるー!」

「混ぜて混ぜてー!」


騒がしいステレオボイス。
騒がしい足音。
それらに気づいた時には既に遅く、背後から全身にどんっと強い衝撃が走った。
抱きつくというより飛び付いてきた双子庶務に、まだ本調子になっていない俺の全身が悲痛な音を上げる。
一瞬口から魂が出掛けた。

mokuji
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