緊張か意地か

マコちゃんと一緒にいると、時間を忘れる。
遠くからゲーム終了の放送が聞こえてきてようやく、俺は結構な長い時間を保健室で過ごしていることに気が付いた。
そろそろだ。
大分、楽になったであろう上半身をゆっくりと起こせば、別途のそばの椅子に座っていたマコちゃんが「あ、おい」と止めてくる。
俺はそれを「大丈夫」と制した。


「そろそろ、時間だから」

「時間?…閉会式か?」

「ん」

「それなら気にする必要は無い」


やけにはっきりとした口調だった。
マコちゃんの言葉の意味がよくわからなかったが、あの小憎たらしい会長との約束がある今、なんとしてでも約束は守らなければならない。


「でも、ほら、一応俺主催側だし…」

「お前も頑固だな。…いいだろう。式に顔を出しても構わないが、お前のそばから離れないからな」

「…ん、分かった」


諦めたように息を吐くマコちゃんに安堵する。
俺とマコちゃんは閉会式会場へと向かうことにした。

立って歩くのも辛かったが、マコちゃんがいるからだろう。
不審に思われないよう、平常通り歩くことが出来た。

mokuji
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