悩みの種 というわけでちーちゃんと一緒に食堂までやってきた俺。 行くまでの間なんかちっちゃくてやかましいちーちゃんの親衛隊らしき子達が石動様石動様うるさかったから俺達は食堂の個室借りて二人きりになることにする。 生徒会役員の特権だ。 せっかく役員になったんだから利用しないとね。 「ちーちゃんの親衛隊ってさ、可愛い顔してる割に怖いよね」 「やはり愛の大きさでしょうか。やぁ、愛されてるって恐ろしいですねぇ」 ふふふ、と笑いながら分厚いステーキを一切パクリ。 昼間っぱらからそんな胃もたれしそうなもんよく食えるなーなんて思いながら俺は目の前のちーちゃんを眺める。 ご丁寧にナプキンで口周りを拭ったちーちゃんはゆっくりと俺を見た。 「あなたのところはどうなんですか」 「どうって、何が」 「佐倉君、親衛隊結成したそうじゃないですか」 全く、どいつもこいつも情報が早い。 もしかして純のやつが言いふらしてるんじゃないのかと疑いたくなる。 「親衛隊っつーか、あれ非公認だから」 「またそんな事言って。いいじゃないですか、佐倉君に任せといたほうが貴方も楽になるんじゃないですか?実際、僕も親衛隊に助けられてますから」 「夜、寂しい時とか?」 そう軽口叩けば、小さく笑ったちーちゃんは「秘密です」と呟く。 いつもなら聞いてもいない下半身の事情までくっちゃべるちーちゃんがはぐらかすのが珍しく感じたが、詳しく追求する気にもならなかった。 俺は手元のサラダにフォークを立てた。 サクリと音を立て、葉物野菜に刃先が突き刺さる。 ちーちゃんは、俺と純の関係に薄々気が付いているようだ。 ただの先輩後輩ではないと。 それでも何も言ってこないのはこの学園にとって然程珍しいことではないからだろうか。 たまに気持ちが悪いけど話が通じるちーちゃんは俺にとっていい話し相手だった。 恋の相談相手としても。 「んで、さっきの話なんだけど」 「ああ、僕の親衛隊のことでしょう」 「なんで、解散の話なんか出てんの」 「そりゃ勿論、ここ最近の騒動が原因でしょうね」 「誰が言ってんの?」 「うちの会長以外誰がいるんですか」 まあ、なんとなく想像はついていた。 生徒会会長、玉城由良。 またあの男か、と舌打ちをせずにはいられなかった。 |