心配事 「え、何、解散て」 ありえない。あんなに親衛隊をかわいがっていたちーちゃんが親衛隊を解散させるなんて。 初耳だ。とりくろう余裕すらなくて、思わず素で動揺する俺にちーちゃんはクスクスと上品に笑う。 「仙道、酷い顔になってますよ」 「だって、普通にびびんだけど」 「でしょうね、だって嘘ですから」 ケロリとした顔で続けるちーちゃん。 これほどまでにこの男をはっ倒したくなったことはないだろう。 色々なことが重なってナイーブになっていただけにちーちゃんのいらぬお茶目にまんまと引っ掛けられた俺は何だから居た堪れなくなる。 「…もうちーちゃんのこと信じない」 「元から信じてないくせに面白いことを言いますね。可愛かったですよ、ショック受けた貴方の顔」 そんなに僕の事が好きですか、なんてまた頭の湧いたようなことを言い出すちーちゃん。 「親衛隊の子たちが気になっただけだし。解散の腹いせでさらに暴走すんじゃないかって」 「貴方が心配してくれるなんて珍しいじゃないですか」 心配というか、これ以上仕事が増えたらやなだけなんだけど。 敢えて口には出さないが、俺の性格を把握しているちーちゃんにはバレているかもしれない。 「でもまあ、解散されそうなのは本当なんですけどね」 俺にだけ聞こえる声でポツリとつぶやかれたその一言にどういう意味だとちーちゃんを見上げる。 目あってちーちゃんは笑った。 「立ち話も何ですし、食堂へと行きましょうか。今ならきっと、そう混んでないはずですし」 |