王子様の企み

マコちゃんといると、満たされる。
安心するのだ、心の底から。
ヒズミから刻まれた傷も癒えぬ内に転校してきて初めてルームメイトとしてマコちゃんを紹介された時、正直苦手にタイプだった。
真面目で、堅苦しくて、冗漫も通じないようなガリ勉。
勉強しろだとか髪を黒に染めろだとか口喧しくて、とにかく最初の内は喧嘩ばっかたけど時間が経つにつれマコちゃんの口うるささは興味関心がある人間にしか発揮されないことが分かり、見方が変わった。
口煩くなるの愛情表現の裏返し。
そう、誰かがどこかで言っていた。
そういや、俺の周りにはもう一人口うるさいのがいるな。
数時間前に別れた純のことを思い出しながら俺は夜飯を食べるために自室を出た。
本当はマコちゃんとご飯食べたかったんだけどなんかまた具合悪くなったらしく寝込んでいるマコちゃんのために夜食調達ついでに腹拵えすることにする。
一人は退屈なので電話帳から適当な人間をピックアップ。
俺はちーちゃんを食事に誘うことにした。

メールを入れてす、ちーちゃんは俺の目の前に現れた。
学生寮内、食堂前。


「珍しいですね、仙道が僕を食事に誘うなんて」

「ちーちゃんこそ、珍しーじゃん。親衛隊は?」


まだ制服のままのちーちゃんの周りにはいつものちっこい親衛隊たちの姿はなく、何なんとなく気になって尋ねてみたらちーちゃんは控えめに笑った。


「あれ、仙道は聞いてなかったのですかね」

「なにが?」

「昨日、親衛隊を解散させたんですよ」

「へー解散ねぇ」


そりゃ道理でいないわけだ。

って、解散?

mokuji
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