デートの誘い方

デートって…。
あまりにもド直球なちーちゃんの言葉にこっちが狼狽える番だった。


「…悪いけど、そういう気分じゃないし」

「そうですか?僕には貴方がどこかに連れ出してほしいと言っているように見えましたが」


気のせいでしょうか、と笑いかけてくるちーちゃん。
気を遣うどころか、いつもと同じ調子でずかずか踏み込んでくるちーちゃんの態度は正直有り難い。
けど、今だけは。


「…しつこい男は嫌われるよ?」

「ということは、貴方は少しでも僕のことを好いていてくれたということでよろしいでしょうか?」

「ちーちゃんのそういうところ、本当嫌だ」

「嬉しいことをいいますね。それでは行きましょうか」


俺の言葉に構わず、ちーちゃんは俺の手を取った。
体温を感じさせないようなひんやりとした指の感触にぎょっとする。
それでも、他の子相手みたいに指を絡めるわけでもなく、ぎゅっと握りしめるわけでもない。本当に俺が離れないように掴んでくるのだ。


「…行くって、どこに…」


あまりにも強引なちーちゃんに気圧されつつ、尋ねればちーちゃんは目を細め、微笑む。


「言ったでしょう、デートですよ」


mokuji
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