散在的罪意識

(雪崎拓史視点)


あいつの顔を見たとき、心臓が停まるかと思った。
敦賀真言。
まさか、ここまで来るとは思わなかっただけに余計。

扉を閉め、鍵を掛ける。
ソファーの上、寝転がっていた仙道は駆け寄ってくるなり俺に抱き着いてきた。


「ね、早く早くー」


言いながら、躊躇いもなく人の下半身を弄り始める仙道にぎょっとしたが、人の制止も聞かずに仙道はジッパーを下げる。


「…少しくらい待てないのか」

「っ、そっちだって、もうおっきくなってるじゃん…っ」


取り出した性器を見るなり頬を緩めた仙道は、言いながらちろりと舌を出した。


「おい…っ」


尿道口から裏筋まで、なぞるように濡れた舌先を這わされれば言葉にし難い感覚が背筋を駆け抜ける。
……絶対、こいつわざとしてる。
あくまで擽るような拙い舌使いに、仙道を見下ろせばやつは愉しそうに笑った。


「なぁに?少しくらい待てないの?」


意地の悪い顔はいつもと変わらない。
目の前のこいつが仙道だと俄信じたくないが、実際仙道の一部であることは間違いない。

目の前の仙道には恐らく、ヒズミと一緒にいたときまでの記憶しかないはずだ。
だからだろう、チームのときの仙道と話をしてるみたいで不思議な気分だった。
「遊ぶなよ」と仙道の耳を撫でれば、小さく身を捩らせた仙道は愛しそうに目の前の性器を口に含む。


「ん、っぅ、んん」

「……ッ、……」

「っ、ふ…ユッキー、興奮しすぎ」

「……うるせえな。人のこと言えんのかよ、お前」


まるで飴か何かをしゃぶるかのように唾液でたっぷり濡らして躊躇いもなく全体に舌を這わす仙道を見て、改めて目の前で跪くこいつが俺の知ってる仙道ではないと再確認させられる。

後戻りは出来ない。
襲われた仙道を綺麗にするため、風呂に入れたあの夜からそれは覚悟していた。
怪我して、満身創痍の仙道を脱がせて、勃起した時から。


mokuji
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