凶暴チワワの手懐け方

「会計様、お願いします、僕たちの力だけじゃあのにっくき転校生を懲らしめることが出来ません、手を貸してくださいっ」

「確かにまあ、君たちだけじゃ無理だろうねー」

「僕からもお願いします、仙道様」


三人組からうるうると見詰められれば目のやり場に困ってしまう。
ああ、ほんとうちの親衛隊と交換してくれないかな。
思いながら擦り寄ってくるチワワちゃんたちに俺は戸惑う。


「わかったよ」


そして、そう俺は重い口を開いた。
三人組の表情が一気に明るくなる。


「一応俺の方からもなんとかするけどさぁ、生憎今のままじゃ彼は過剰防衛に過ぎないからねえ。あくまでも先に手を出した君たちが悪いってことになっちゃうんだよね」

「そんな…!」

「仙道様、僕たちはただ石動様の!」

「わかった、わかーった、わかってるからそんな詰め寄らないで」


なんかふわふわしたお花みたいな匂いがして気持ちがいい。
ぎゅうぎゅうと擦り寄ってくる三人組を抱き締めたい衝動に駆られつつ必死にそれを堪える。


「取り敢えず、君たちはもう日桷和馬に手を出さない。今度したら嫌でもちーちゃんから親衛隊解散令出してもらわなくなっちゃうからね」


そう続ければ、先ほどまではしゃいでいたチワワちゃんたちの表情が翳る。
無理もない。
これはちーちゃんも予想していないだろうが、実際この状況が続くのならそうならざるを得なくなってしまう。
風紀委員長であるマコちゃんが洩らしていたので事実だろう。


「返事は?」

「……はい、わかりました」


しゅんとする三人組になんとなく罪悪感に苛まれつつ、俺は「偉い偉い」と三人の頭を撫でていく。


「転校生君のことは俺たちがなんとかするから、君らはちーちゃんの側にいてあげて」


そして首輪をしっかり繋いでくれていたら万々歳なのだが。

mokuji
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