求めていたもの

(雪崎拓史視点)


掌を広げれば熱く、粘っこい液体が指に絡み付く。
仙道の、精子。
そう思えば掌を汚す白濁すら愛しく思えて、掌に舌を這わせる。
多少の青臭さも苦さも気にならない。
寧ろ美味しくさえも感じ、そのまま跡形も残さず舐め取れば項垂れていた仙道の細い肩が微かに震える。



「……っ、はは……イッたのか、仙道…」

「っは、ぁ……うぅ……」

「…俺に犯されてイッたのか、仙道」


あの仙道が、俺の手で。
無邪気な顔をして俺に甘えていた仙道が、俺の手でイッてくれた。
それだけで胸の奥が満たされるようだった。

最初、得体の知れないあの男に犯されてるのを見たときは血の気が引いた。
傷付いた仙道の体を洗って清めて消毒して手当して。
夢の中でまで魘される京を助けられたら。
そう、願っていた。
いつだって。
だから、嬉しかった。少しでも仙道を助けられたのならと思うと嬉しくて、嬉しくて、嬉しかった。
なのに。


「……っ、ふ、あは…っあはは…っ」


嗚咽だったそれはいつの間にかに笑い声に変わっていた。
肩を揺らし、笑い出す仙道に違和感を覚えずにはいられなかった。


「…仙道?」


そう、目元に掛かった前髪を掻き上げながら呼び掛ければ、笑みを浮かべた仙道と目が合う。
涙を滲ませた瞳を細め、笑う仙道。
見たことのない表情に、胸の奥がざわつく。


「イッちゃったぁ…俺、また我慢できなかったよぉ……」


舌足らずな声。
腰に回される脚に驚くするのも束の間。


「だからぁ、いつもみたいにお仕置きしてよ」


そう腰を動かしてくる仙道に目を疑わずにはいられなかった。
少なくとも、仙道がこんな真似をするやつとは思わなかったから、余計。


「一本でも二本でも三本でもいいよぉ?甲斐性なしの俺のおまんこでぇ受け止めてあげるからさぁ…」

「っ、仙道…何言って…」

「だから、もっとぐちゃぐちゃにしてよ。もっと、ぶっ壊してよ」


ヒズミ、と小さく唇が動くのを見て、目の前が真っ暗になる。
こちらを見上げる蕩けたような目に俺の姿は映っていなかった。


mokuji
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