悪夢現 (仙道京視点) 「っぁ、は、ぁ、ああぁ…ッ!」 押し退けようとしても体重を掛けられれば肉を割るように入り込んでくる性器に圧迫され、頭の中が真っ白になる。 痛い、というよりも苦しくて。 胸も、腹の中も、全部。 「少しは痛くないだろ?…寝てる間もずっと、慣らしてたんだからさ」 「ッゆ、き…ぃ…ッ!」 汗が滲む。覆い被さってくるそいつを睨んだとき、背後に伸びてきた手に背中を抱き締められる。 「んぅうッ!」 瞬間、ぐっと奥深くまで入り込んでくる性器に堪らず声を上げたとき、背中に回されたその手は俺を宥めるかのように優しく背筋を撫でた。 「…大丈夫、俺は優しくするから」 他の奴らみたいにお前に辛い思いはさせないから、と、そう耳元で囁かれる声はどこまでも優しくて。 だからこそ、余計、怖かった。 いつもと変わらないユッキーが。 これが夢だったらどれ程良かっただろうか。 悔やんだところでこの事実は変わらない。 「っ…や…だ……嫌だ……っ!」 「……仙道…」 「嫌だ、抜いてッ!ユッキー…ッ!抜けってばッ!」 必死になって、ユッキーを押し退けようとする。 けれど、体の中でユッキーが動く度に思考が飛びそうになり、冷静になることが出来なかった。 「っ、ひ、ぐッ」 腿を掴む指が食い込む。 そのまま腰を打ち付けられれば、喉奥から声にならない声が漏れた。 「あ、ぁ、やッ、ぁ、抜ッ、だめ……ッ」 「……どうして、仙道……」 「っ、やだ、も、やだぁ…ッ」 頬を濡らすのが涙なのか汗なのかすら分からなくて、頭の中も靄がかったようなのに、体内を這いずる肉の感触だけは酷く、生生しい。 下半身を弄られ、萎えたままになってる性器を無造作に握られれば全身が硬直した。 「や、ぁ……ッ!」 「…優しくじゃ…気持ちよくないのか?…ダメなのか?」 ぶつぶつと何かを呟くユッキー。 言いながらも、止まらない腰に根本まで挿入され何度も奥を突かれればその度に喉奥から潰れたような声が漏れる。 「ゃ、も、ごめ、んなさ…ッ、ごめんなさい…ッ!」 「仙道、どうして謝るんだよ…ッ」 「ごめんなさい……っ!」 「仙道ッ」 激しさを増すピストンに頭の中はちかちかし、目の前が掠れる。 覆い被さってくる影が一瞬、この場にはいない筈のヒズミとだぶり、瞬間、氷水を掛けられたように凍り付いた。 しかし、それも束の間のことで。 「っ、ぁ、ひ、ぅぐッ」 「おい、仙道…ッ」 肩を揺すられ、正気に戻る。 そうだ、ヒズミはいない。ヒズミはいないんだ。 いるのはユッキーだけだ。 優しい、ユッキー。 「ーーッ!」 心配そうに名前を呼び掛けてくるユッキーにほっと安堵したときだった。 不意に、根本まで挿入されている下腹部が視界に入ったとき、今度こそ言葉を失った。 ああ、これは。 夢じゃないんだ、と。 段々明確になっていく意識の中、頭を殴られたかのような衝撃に今度こそ、俺は突き落とされたような錯覚を覚える。 |