荒治療


「ゆ…」


電話を切られたことに絶望するよりも先に、大きく掴み上げられる腿に全身が強張る。
隠さないととか恥ずかしさとか、そんな感情を覚える暇もない。
外気に曝されたそこにユッキーの指が入り込んでくる。
逃げようとする腰を捕まえ、問答無用で深く捩じ込まれる指に息が詰まりそうだった。


「っ、ぁ、や…だ…っ!ユッキー…っ!」

「仙道、俺、自分で結構心広い方だと思ってたんだけどさ…」


二本目の指が充てがわれ、散々解されたそこに割って入ってきた。
体内で蠢く異物感以上に覆い被さってくるユッキーの影に全身が竦み、震える。


「ごめんな、余裕ないわ」


そんな俺を見て、ユッキーの口元に薄く笑みが浮かんだ。
同時に、窄まったそこを力任せに左右に拡げられる。


「…っ!」


指の動きに全身が引き攣り、身を捩らせた矢先。
スラックスのファスナーを下ろし始めるユッキーに血の気が引く。


「…っ、仙道」


狭いソファーの上、ユッキーの下から逃げようとするがあまりにも狭すぎた。
動く隙もないくらい密着したこの体勢。
拡げられたそこに宛てがわれる独特の感触がなんなのか、嫌でも理解してしまう。


「嫌だ、マコちゃ、ぁ、マコちゃん…っ!」

「…ッ仙道」

「う、ぁ………ッ」

「俺じゃ、ダメなのかよ」

「ぁ……あぁ……っ」


濡れた肉の感触に喉が、器官全体が震える。
ずしりとのし掛かるユッキーの体重に押し潰されそうになって、固定された下腹部、ずぷりと音を立て埋め込まれるそれに汗が滲んだ。


「俺は、いつでもお前のことを……っ」

「…ゆ…っ、き……」


ユッキー。
そう名前を呼ぼうとした時だった。


「ん、ぅうッ!」


ぐっと加えられた体重。
唾液で濡れた穴はその頭を難なく受け入れようとして、それを止める体力は俺には残されていなかった。


「は、ぁっ、あ…ぁあ…っ」

「…俺が、全部忘れさせてやるから」


白ばむ視界の中、痛み以上の熱と押し潰されそうなほどの圧迫感に息が詰まる。
何も考えることが出来なかった。
流れ込んでくるユッキーの言葉に、熱に、全身が毒に冒されるみたいに熱くなって、自分の体ということすら分からなくなる。

それでも。


「…そうすれば、お前はもう怖がる必要ないんだろ?」


そう笑う目の前のユッキーが正気ではないということは理解できた。


mokuji
[ Bookmark ]

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -