着信拒否 「ゆ、っ、き…ぃ……っ」 「…仙道……っ」 朦朧する意識の中、確かにユッキーと目があった。 そして、ユッキーはふ、と笑う。 「安心しろ、ちゃんと綺麗にしてやるから」 そう言って。 「ッ!ぁ、うそ、やだ、ユッキー…っ!」 奥深く、入り込んでくる濡れた舌先が内部を弄るように動く度に脳髄が熱く、痺れ始める。 せめて、と藻掻くように腰を捻じれば腿を掴むユッキーの手に力が籠もり、しっかりと固定された下腹部、ユッキーは更に顔を埋めてきて。 「ふ、ぅう…っ!」 心臓がひりつく程痛い。それ以上に、触れられた箇所すべてが火傷みたいに疼いて、熱くて。 体内を蠢くそれ以外、何も考えられなくなる。 「……っ、は」 なにこれ。なにこれ。 何度頭を整理しても理解できない。この感触を、この状況を現実のものと受け入れることが出来なかった。 濡れた音と湿った水音が響く室内。 そんな中、不意に聞き慣れたあの音が聞こえてくる。 夢の中でも聞いた、着信音が。 「…っ!」 マコちゃんからだ。 遠くから聞こえてくる着信音、そう離れてはいないテーブルの上でブルブルと震える端末を見つける。 「ま、こ、ちゃ…」 誰でもいい、夢ならさっさと覚ましてほしかった。 夢じゃなくても、誰かに。 汗ばんだ手のひら、ユッキーの下から這い出るようにテーブルの上のそれへと手を伸ばそうとした時だった。 伸びてきた手に、それを横から奪われる。 「ぁ…っ」 取り上げられた携帯を目で追いかける。 それを手にしたユッキーと目があって、俺はそのまま動けなくなった。 「………」 今までに見たことのない、薄暗い瞳。 睨むわけでもなく、突き放すわけでもない、それでいて何を考えているのかわからないその表情に言葉を詰まらせたとき。 片手で端末を操作し、ユッキーはその電話をぶち切る。 |