独創的創作料理 テーブルの上、広げられた皿に盛られた………え、なにこれ。まじでなにこれ。 「ぅわー…い」 「お前今思いっきりうわーって言ったろ」 「だって何これ、黒すぎだしめっちゃ味濃そうだし」 「な…っ!文句言うなら没収するからな!」 別に没収されてもいいのだが、そんなこと言ったらユッキーがまじで凹んでしまいそうだ。 変なところでナイーブなユッキーを知ってるだけに流石にそこまで虐めるのも可哀想なので、 「わかった、冗談だってば。食べるからちゃんと」 そういえば、嬉しそうに破顔したユッキーは「おう」と頷いた。 食べるから、とは言ったものの。 取り敢えず一口、転がっている肉だったものを食べてみる。瞬間、ガリッととてもじゃないが肉を咀嚼したとは思えないような変な音がした。 「どうだ?」 「…すげー歯に良さそう」 「だろ?」 褒めてねえんすけど。 しかしまあ、うん、そういう料理だと思えば食べられないこともないが、なんかもう砂利食ってる気分になりつつも半分以上食い終えたときだった。 「足りなかったら一応ラーメンもあるからな」 言うのおせーよ。 「寧ろそっち欲しいんだけど」 「なんだとこの」 とまあ、ぎゃーぎゃー騒ぎながらも目の前の創作料理を完食する。 「あー食った食った」 「お粗末様でした」 「まじでな」 「なんだって?」 「ウソウソ、美味しかった美味しかった」 ついうっかり本音ぽろっとしてしまったので慌ててフォローしてみれば、「そうか、ならよかった」と安堵するユッキー。 「今度はもっと美味いの喰わせてやるからな」 え、いらない。 「ほら、喉乾いたんじゃないのか」 「あ、ありがとー」 差し出されたコップを受け取る。 丁度ぱっさぱっさになっていたところだったので俺はありがたくそれを頂戴することにしたのだけれども。 「なんか…食べたら眠くなってきた」 「ならその辺横なってていいからな、俺、ちょっと片付けてくるから」 「んー、そうする。…おやすみ」 まだ目を覚ましたばっかなのに、とは思ったが、ユッキーの声が聞けて気が緩んだのかもしれない。 欠伸を噛み締め、俺はソファーの背もたれに深く凭れる。 考えることすら億劫になるほどの強烈な睡魔に、俺はそのまま眠りに落ちた。 |