見掛けに依らない 「足音?聞こえたのぉ?」 「聞こえた。…用務員の人たちとは違う足音」 「見回りじゃねーなら逃げなくてよくね?」 さっきと同じ窓から校舎後にした俺たち。 真っ暗な校庭を横切って学生寮へ向かってるその途中、なんとなく気になって聞き返してみればよーへい君は足を止める。 そして、 「面倒なことは避けたいから」 感情の読めない無表情のまま、そうハッキリと言い切るよーへい君に少しだけ、驚いた。 「……よーへい君って結構言うよねえ」 「…………嫌?」 「んーん。好きだよ、そういう人」 いいながら、よーへい君に肩を組もうとしたら「そう」とそっぽ向いたよーへい君に避けられた。 スキンシップは嫌いなようだ。空振った手のやり場に迷いながら、俺ばさっさと前を行くよーへい君の後を追いかけた。 |