暇な人

誰もいない生徒会室で待つこと数分。
二番目にやってきたのは、生き写したような二人組だった。


「あれ、会計しかいないの?」

「めっずらし、一番乗りじゃん」


ソファーに横になってうたた寝していたところに現れた補佐の東双子。
わざわざ体起こすのもだるいが、誰かの前で眠る気にはなれない。
渋々携帯端末を取り出した。


「あれ?なに?無視?」

「うっわ、感じわるーい。もしかして俺ら嫌われてる?」


大当たり。
そう、俺が口を動かすよりも先に、閉まったばかりの生徒会室の扉が開く。
そして、


「なんだぁ?弱い者いじめか?」


聞こえてきた、ねっとりと絡み付くようなその声にぴくりと反応した俺は目だけを動かしそこにいたやつを見た。
四番目で、ようやくかいちょーのお出ましだ。


「かいちょー」

「あ、サボり魔だー」

「うるせぇ、お前らと一緒にすんじゃねえよ」


生徒会室へ入ってきたかいちょーは荷物を投げ捨てるようにソファーに放り、そのまま俺の元へやってきた。
つい、慌てて起き上がり身構えてしまう俺にやつは僅かに口元を緩める。


「随分とはえーじゃねえか。誰かさんがいなくなって暇なのか?」

「…」

「なんだよその目、誘ってんのか」

「そう見えるんなら眼科行った方がいいんじゃないのぉ?」

「ハッ!随分と強気だな。良いことでもあったか」

「…」


ああ、やっぱり、真面目に時間前に部屋入りなんてするんじゃなかった。
やけに絡んでくるかいちょーの一言一言が気に障り、落ち着きかけていた胸の奥がざわつき始める。


「あは、かいちょーまで無視されてんじゃん!」

「ふられちゃったねーかいちょー」

「勝手に決め付けんじゃねえよ」


言いながら、かいちょーは庶務たちの元へ行く。
それを確認し、ようやく俺は肩の力を抜いた。

mokuji
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