夢にまで見た

純につれられてやってきたのは、学生寮地下にあるラウンジ。
教師寮が出来る前まで教師たちが使っていたらしいこの階は殆どが今現在使われておらず、本来ならば一般生徒立入禁止だというのにどこから手に入れてきたのか、純がこの階の鍵を持ってきてからチームの連中はここに入り浸っているようだ。
とはいっても肝心の部屋は鍵が違うため開けないが、冷暖房設備も整ったそこは他の階同様電気は通っているらしく、各々テレビや冷蔵庫などを持ち込んでそれなりに快適な空間を作り上げていた。きっと、このことを知ったらマコちゃんはその努力を他に回せ、と怒るだろう。
勿論、流石のマコちゃんにもここのことを言う気にはならないが。俺が怒られるのは目に見えてるし。


「「「仙道さん、オハヨーゴザイマス!」」」

「はいはい、おはよー」


というわけで、朝からテンション高い信号機トリオのお出迎えを受けながら俺は奥のソファーで寛いで本を読んでいたユッキーの元へと歩いていく。
やってくる俺に気付いたユッキーは手にしていた文庫本から目を離し、俺を見た。


「よお、仙道。起きてたのか」

「純に起こされた」

「普通の生徒はこの時間から起き始めるんすよ」

「はあ?なにそれ、何情報なわけ?」

「登校時間から逆算したらわかるだろ」

「ユッキーまで難しいこと言わないでよ」

「…お前、一応会計なんだよな?」


まるで恐ろしいものでも見るかのようなユッキー。
会計は俺だけど計算するのは電卓なのであんまり俺は関係ないのだけれど、これ以上墓穴を掘りたくないので話題を変えることにした。


「それで?わざわざ純に連れてこさせたってことはなにか用あるんだよねえ」

「まあな。…取り敢えず、座れよ。朝飯まだなんだろ?……おい」


ユッキーは近くにいた奴に声を掛け、なにかを持ってこさせるように合図した。
命令を受けたそいつはそそくさとその場を離れ、暫くもしないうちになにかを持ってきた。
それは惣菜パンと飲み物代わりらしき、見覚えのある炭酸飲料で。


「ほら、食えよ」


テーブルの上、置かれたそれらに思わず俺は顔を引き攣らせた。
昨日の今日で、これはなにかの嫌がらせだろうか。
まあ食べるけど。

mokuji
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