単細胞×2

翌日。


「う…うす…」


インターホンが鳴って、寝惚け眼のまま扉を開けば、そこにはなぜかジャージを着た純が立っていた。


「……なにそのかっこ」

「眠気覚ましにちょっと運動をと思って」

「走ってきたの?……物好きだねえ、純も」

「結構頭冴えますよ、仙道さんもどうですか?」

「え〜?俺はパス。汗かくの嫌いだし」


そう即答すれば、純は「ですよね」と苦笑した。
少しぎこちないけれど、いつも通りの純だ。
機嫌、直ったのだろうか。
少し気になったけど、わざわざ本人に問い掛ける話題でもない。
それに、気にしてると思われたくない。
そう思うのは、やっぱり純が相手だからだろうか。弱い所はなるべく、見せたくなかった。
今更だとしても。


「それで、どーしたの、こんな時間に。まさか、まじで俺をそれに誘いに来たわけぇ?」

「そんな無駄なことしませんよ。…いや、なんか仙道さん、風紀のやつらに付き纏われてるって聞いたんで、あいつらが来る前にと思って」

「会いに来てくれたんだ」


口籠る純に少し驚けば、僅かに純の顔が赤くなった。
他意はなかったのだが、また、余計なことを言ってしまったのだろうか。


「いや、今のは…」


変な意味じゃないから。
そう、付け足そうとした時。


「…そうですよ、わざわざこんな朝っぱらから会いに来たんですよ。…仙道さんに」


ヤケクソか、開き直ったように投げやりに言い切った純。
いつものように噛み付かれると思っていただけに、まさかの純の反応に俺はきょとんと硬直した。


「笑いたかったら笑ったらどうですか」

「…笑ったら怒るくせに」

「それは仙道さんが余計なこと言うからですよ」


一緒じゃん、と唇を尖らせた俺は純と睨み合う。
それも束の間。
どちらともなく噴き出し、そのままお互いに笑う。

まだ皆が寝静まった早朝の学生寮内。
一足先に制服に着替えた俺は、純とともに部屋を抜け出した。

mokuji
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