企み

協力。
その言葉に、思わず春日の顔を見た。
目があって、春日はにっこりと猫のように笑った。


「うちが所有してる部屋、一日だけ貸すよ。どうせ家具もそんなにないんだから準備にも時間は掛からないよね?」

「…いい。お前の世話にはならない。自分でなんとかする」

「なんとかって何?どうするの?」

「それは…」

「下手に勘繰られる可能性を踏むよりも、無難な方がいいと思うよ、僕は。それとも、僕の知らない内に真言は感情で動く感情馬鹿になったわけ?」

「…」


遠慮のない物言い。
そのきつい口調に慣れてしまった今、頭には来ない。
だけど、そんな挑発に安易に乗るようなほど愚か者ではない。


「なにをそんなに警戒しているのか知らないけど、僕は真言に恩を着せるつもりはないから」


黙りこける俺に、春日はくすりと笑った。


「これくらいで、あんたへの恩を返せるとも思ってないし」


ぽつりと呟いたその言葉は、しっかりと耳に届いていた。

mokuji
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