ブラックリスト6と不良風紀とお転婆お姫様(♂) 長ったらしい授業を終え、休み時間。 授業中、ようへー君に話し掛けて時間潰そうとしたが無口なようへー君に次々とかわされ、結局真面目に授業を聞くはめになってしまった。 というわけで、我慢していた用を足すために一度教室を出たわけだけれども。 「あのさぁ…、なんでついてくんの」 「委員長にそう言われているので」 「う…ここでもマコちゃんか…」 マコちゃんが過保護さんなのは知ってるけど、正直ここまで来ると『仙道京は風紀委員長の名前を出せば言うこと聞く』とか言われてんじゃないかと疑りたくもなる。 男子便所前。 中にまで付いてこようとする数人の風紀委員たちに俺は溜息を吐いた。 ちょうどそのときだ。 「あれ、仙道?」 たまたま通りかかったのか、見慣れない生徒と一緒にいるユッキーが驚いたように俺を見ていた。 「ユッキー」 「お前、こんなところでなにして………」 そう、歩み寄ってきたユッキーが言いかけたとき。俺の背後に目を向けたユッキーは「げ」と露骨に顔を顰めた。 つられて振り返ろうとしたとき、腕を引っ張られ強引にユッキーから引き離される。 「こいつに何の要件だ?手短に済ませろ」 背後から聞こえてきたのは獣の唸るような低い声。 なっちゃんだ。 どうやら迎えにきてくれたところだったらしい。 「仙道…なんでこいつらに絡まれてんの」 現れた風紀委員に一斉に取り囲まれ、条件反射か両手を上げたユッキーは困惑した表情で。 俺は「さあ、なんでだろ」とだけ言っておく。 「こいつに怪しいやつは近づけんなって命令出てんだよ」 「俺、怪しい?」 「3年ブラックリスト登録6雪崎拓史」 「怪しい以外なにがあるんだよ」と仏頂面のまま答えるなっちゃん。 噂でブラックリストなんてものがあること自体は知っていたが、それにユッキーが登録されているのは初耳だ。 6って結構あれじゃね?なんか、誰が登録されてんのか気になる。 「すっげー嫌われてんのな、俺」 ユッキー本人は知っていたのかブラリス自体に興味がないのか、相変わらずの調子で肩を竦める。 ちっとも悲しそうじゃないのはわざとだろう。 「それにしても大変だな、お姫様は」 そして、風紀たちに守られるように立つ俺に目を向けたユッキーは揶揄して笑う。 バカにしてんのか、同情してんのか。多分両方だろう。 「人気者だからねぇ?」と皮肉込めて答えれば、ユッキーは苦笑した。 「ま、ならどっかの誰かさんがすっ飛んでこない内に退散させてもらうよ。くれぐれも、逃げられないように見張っててくれよ」 「そいつはなにを仕出かすかわからないお転婆だからな」と付け足すユッキー。 さっきからこの人はホント失礼なことばっかいうな。ただちょっぴりお茶目なだけだっつーのと咎めるような視線をやつに向けたとき、 「わりぃな、とっくに知ってる」 なんか俺の扱い酷くない? |