初めましてクラスメート

ガラガラの教室の中、いかにも真面目そうなのがちらほらいるけど多分風紀だろうなー。
マコちゃん率いる風紀委員は頭が悪そうなのが多いうちの中でもまともなのが所属しているのですぐわかる。
活動時間外、腕章はしていないみたいだ。
なんて、ぼんやりと辺りを眺めていると、ふと、隣の席に影が見えた。
何気なく見上げると、そこには見覚えのある人物がいた。


「……」


生徒会書記、各務陽平。
名前とは裏腹に喋らない、暗い、目立たないという影まっしぐらなよーへい君は目が合うと「初めて」と唇を動かした。


「ん?」

「はじめてだね。……きたの」


相変わらず、うっかりしていると聞き流してしまいそうなくらいの静かな声。


「うん。ちょっとねー、俺もインテリ目指そっかなって。つか、よーへい君もこのクラスだったんだ?」


奇遇だねーと笑い掛ければ、無表情のままよーへい君はこくりと頷いた。
相変わらず口数の少いやつだが、相手が悪いやつではないとわかっているだけ、その静かさはなんとなく心地がいい。
少しは退屈しのぎはできそうかな、なんて思いながら俺はびくびくと震えながら入ってきた教師を眺める。



mokuji
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