予感は当たるから予感なのです 「おう、石動」 「ちーちゃん、ちーちゃん助けて」 隙をついてせんせーの腕から抜け出した俺はちーちゃんにしがみつき、助けを求める。 ノリがいいちーちゃんは抱き止めてくれた。 「凩先生、まさかとは思いますがあなた生徒会室で生徒と不純同性交遊に及ぼうと…」 「ちょっと待て、現在進行形で凄まじい誤解してるぞお前」 というかわけで俺とちーちゃんの訝しげな目に耐えれなくなったらしいせんせーはちーちゃんに先ほどの日桷和馬の名簿を渡し一通り説明する。 「なるほど、案内ですか」 「ああ、こいつがどうしても行きたがらなくってな」 「おや、困りましたね。仕事を選りすぐるのはよくないですよ、仙道」 「…ちーちゃんだって恋人は顔で選ぶくせにぃ」 「ええ、お陰で今まで一度足りとも恋人ができたことがありません」 肩を竦めて笑うちーちゃん。 セフレはいっぱいいるのにね、という言葉は敢えて飲み込んだ。 こいつの場合理想が高すぎるのだ。 あまりにも注文が多すぎてどんな理想だったか忘れてしまったが。 「凩先生、校内を案内するだけでいいんですね?」 「ああ、簡単でいいからな。取り敢えず合流したら理事長室まで連れて行ってくれ。そうしたら後は理事長がなんとかするだろう」 「わかりました」 そうぺこりと頭を下げるちーちゃんは資料を仕舞い、そのまま生徒会室を後にしようとする。 仕事の早いやつ。 思わず「ちーちゃん」と引き止めた。 「まじで行くの?」 「ええ、あなたも来ますか?」 「んや、やめとく」 そう答えればちーちゃんは気を悪くするわけでもなく「わかりました」とにこりと微笑み、そのまま出ていった。 なんだろうか、なんとなく嫌な予感がする。 自分の中にある漠然とした不安をどうすることもできずただ俺はちーちゃんがいなくなった後を呆然と眺めていた。 |