難有り信号機


扉を開くと、既に消灯の時間が過ぎていたようで廊下は真っ暗だった。
うわぁ、超不気味じゃん。なんて思いながらも一歩踏み出した。
そのときだ。


「「「仙道さん、お勤めお疲れ様でした!!」」」


綺麗にそろった3つの声。
ぎょっと目を見開き、振り返ればそこには90°に腰を折り曲げ頭を下げる赤、黄、青の信号機カラーの派手な頭髪をした三人組。
名前は忘れたけど、チームのやつだろう。その信号機カラーには見覚えがある。


「うん、多方面に誤解されるからそういう言い方やめてよね。っていうか君らわざとだよね?」


ちーちゃんに聞かれてたら爆笑されてたぞ、と恥ずかしくなりながらも慌てて扉を閉める。
呆れたように眉間を寄せる俺に、一番落ちいてそうな青が顔を上げる。


「いつまで経っても出てこないので乗り込もうかと相談してたんですよ」

「そーですよ!他の奴らは呼んでもねえのに出てくるし、残ってるのはあの石動千春と仙道さんだけって聞いてもしかしたらって……あいてっ!」


青に隠れ、ぴーぴーと吠える黄の頭部をスパーンと叩く赤。
今のは痛そうだ。


「馬鹿、本人に言うなよ!」

「なんだよ、殴んなよ!いてえんだよ!馬鹿になったらどうすんだよ!ばーか!」


「おい、お前ら喧嘩してる場合じゃないだろ!」


ぎゃいぎゃいと本格的に掴み合いを始めそうな赤と黄に、呆れた顔の青が慌てて仲裁に入る。
仲がいいのか悪いのかわからないが、なんだろうか。賑やかなのは髪と服装だけではないようだ。


「………ね、純はいないの?」


恐らく、というか間違いなくこいつらは俺の出迎えを頼まれたのだろう。自発的なものかどうかは分からないが、いつもなら自ら率先して呼んでもないのに付け回してくる純やユッキーの姿がないのは気になった。
尋ねてみれば、案の定三人の顔色が悪くなる。


「え?えーっと、純は……なあ?」

「なんか、昼飯で食った焼きそばパンに当たったとかって……ねえ?」

「気分悪くなったって先帰りました!」

「ふぅん……」


上から赤、青、黄。
うんまぁ、普通に怪しいよね。
なにか隠している、そう直感した。


「じゃ、ユッキーも?」

「雪崎さんはなんか用事があるそうです」

「あ、二人がいなくても大丈夫ですよ!俺達が命に代えても仙道さんをお守りしますので!なあ!」

黄の言葉に「「おう!」」と声を揃える二人。
なんか無駄に張り切っているところが不気味なくらい心配なのだが、まあいい。
煩かったら適当に撒けばいい話だ。


「ま、いいや。じゃ、静かにね」

「「「うっす!!!」」」


聞いてたか、人の話。

mokuji
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