マコ京でオナニーネタ

相互自慰/枕オナ/妄想/ぬるめ




「っは、ぁ、……んん……っ」


衣擦れする音に混ざって聞こえるのは、湿った音と掠れた声。
もぞもぞとベッドの上で動くそいつは扉の外にいる俺に気付いていない。

どうしたもんだろうか。
別に、ただの自慰ならなにも見なかったことにして素通り出来る。
出来るのに、あいつは、仙道京は、人のベッドに潜り込んでいた。


「マコちゃ…っ、ぁ…ふっ…ぅんん……ッ」


しかも、ネタが俺だと。
名前を呼ばれ、無意識に全身の筋肉が緊張する。
人の枕を股に挟み、下着越しに腰を擦り付ける姿はどうみても尋常ではない。


「……ッ」


バクバクと心臓が跳ね上がり、息が詰まる。
なにをしてるんだ、あいつは。
もし、相手が相手ならば人の枕をなんだと思ってるんだと切れていただろう。
なのに、なんでだろうか。本来ならば不愉快極まりないはずなのに、いつも俺が使ってる枕が今京の細い腿の間にあると思ったら脳味噌が熱く溶けそうになる。
息が、苦しい。


「マコちゃ、んっ、マコちゃん…っ、すきぃ…っだいすきぃ…っ!」


ああ、だめだ、こんな。
せめて、聞いてはいけない。
そう思うのに、体が石のように硬くなったまま動かない。
吐息混じりの喘ぎ声が耳にこびりついて離れない。
必死に、しがみつくように丸めたシーツに顔を寄せ、まるで寝具相手に擬似交尾のような真似をする京の姿から目が離せなくて、罪悪感と自己嫌悪、訳の分からないドロドロとした感情が腹の底から込み上げてはぐちゃぐちゃに混ざり合って、結果、全身の血液が滾るように熱くなった。


「っ、くそ……ッ」


熱くなる下半身に舌打ちをし、必死に煩悩を振り払おうとするが聞こえてくる京の声に、濡れた音に、目蓋裏にこびりついた発情した京の姿に、体は反応する。

なんで扉開けっ放しでするんだよ。
ちゃんと俺がいないとき狙えよ、馬鹿。
体の中で暴れだすものを必死に抑えながら、浅く息を吐いた俺は自分の下半身に手を伸ばした。
浅ましい。
わかっていたが、この場で収めないと自分がなにをしでかすかわからなくて、それが一番怖かった。


「っ、ぁ、だめ、マコちゃん…っ!」


一瞬、自分に向けられたのかと思ってびっくりしたが、蕩けたような目には俺は写っていない。
だめってなんだよ、なにやってんだよ、あいつの頭の中の俺は。
普段、スカした顔した京が頭の中で俺にどんなことをされているのか考えただけで熱で頭が馬鹿になりそうだった。
硬くなったのを下着から取り出し、スウェットの下で隠すように擦る。


「っぁ、はっ、も…無理…っイキそ……っイッちゃうよぉ……っ!」


どうしてあいつの声はこんなにエロいんだ。
掠れた声が余計卑猥で、性欲を掻き立てる。
俺はこんなんじゃなかったはずだ。
同室の男の自慰現場見て抜くなんて。
そんな自己嫌悪すらどうでもよくなるくらい、京の声はなけなしの理性までぶっ壊しにかかってくる。


「……っ、ふ…ッ」


握りしめた性器は既に射精寸前で。
普段、こうやって自分で慰めなければならないほどの強い性欲に駆られたことがなかっただけに余計高まっているのだろう。
掌、ぐちゅぐちゅと音を立て絡み付いてくる先走りにぎゅっと目を瞑れば、目蓋に京の姿が浮かぶ。
枕を抱え、濡れた瞳でこちらを見上げてくる京の白い腿を掴み、暴いた下腹部に無理矢理自分の性器を捩じ込む映像が。


「……ッ!」


不味い。
自分がとんでもないことをしているということはわかっていても擦る手はとまらなくて、それどころか手の中の性器は一層硬くなるばかりで。
掌を京の体に見立てて激しく擦り上げる。
あまりの罪悪感で叫びそうになったが、扉の向こう側に京がいるという事実が寸でのところで俺を引き止める。
なのに、


「マコちゃん…っ!」


声を震わせ、俺を呼ぶ京はびくびくと腰を痙攣させ、そのまま布団に埋もれる。
それでもなお、擦り付ける腰の動きは止まらなくて。


「あぁ……っ、もう、くそ……っ!」


なんでそんなに煽るんだ。
どれほど人が我慢してると思ってんだ、あいつ。

顔が熱くなって、息が上がる。
あまりにも無防備というか、人の気もしらない京段々むかついてきた。
むしゃくしゃして、がむしゃらに扱けば絶頂がきて、腰が大きく跳ね上がる。
零さないよう咄嗟に先端を掌で覆えば、そのまま俺は自分の掌に射精した。


「京……っ」


はぁ、はぁ、と呼吸をし、乱れた息を整える。
射精と同時に緊張が途切れ、全身から力が抜け落ちた。
指一本動かすのも億劫なくらいの精神的脱力感に襲われ、目だけ動かし俺は扉の向こう、ベッドに埋もれる京に目を向ける。
そしてその瞬間、確かに、京と目があった。
こちらの視線に気付いた京はにやりと笑い、そして、気付いたときはシーツを抱き締めたまま眠っていて。

もしかして、自分は誂われていたのだろうか。
そう確信したときにはぽーっと耳まで熱くなって、俺は慌てて逃げるように便所へ飛び込んだ。



「マコちゃんってば、ほんと真面目だよねぇ。…でもまぁ、そーいうとこがいいんたけどね」

mokuji
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