焦り+口下手+不器用=支離滅裂

(仙道京視点)


眠っていると、ドンドンと扉を叩く音が聞こえてくる。
けたたましい荒いノックの音に叩き起こされ、うっすらと目蓋を持ち上げれば相変わらず自室に人気はなくて。


「ん……」


いまは何時だろうか。
携帯電話を手に取り、現在時刻を調べてみればまだ一時間も経っていない。
そして、携帯には複数の着信が入っていた。
並ぶチームのメンバーの名前、その大半は純からだった。
ドンドンと叩かれる扉。
もしや、と思い、扉についたレンズから扉の向こうを確認してみれば、案の定そこには青い顔した純がいた。


「じゅん〜?」


まだ覚めていない頭でロックを解除し、扉を開けば、現れた俺に純は安堵する。
しかし、それも束の間。


「仙道さんっ、大変です!風紀がヒズミを半殺しにして生徒会がリコールしろって騒いで風紀のやつらたちと乱闘騒ぎで警察が来て!」

「え?ちょっ、ちょ、待って。まったく意味わかんないから」


断片的に、それでもしっかりと聞こえてきた『風紀』『ヒズミ』『半殺し』という言葉に冷水をぶっかけられたように脳髄が冷め始める。
純も純で相当焦っているようだ。
「取り敢えず、落ち着いて」と純の肩を擦れば、少し落ち着いたらしい。深い息を吐き、純は相変わらず青い顔して「すみません、取り乱しました」と小さく頷く。


「取り敢えず、1つずつ説明して。……ね?」


目の前に慌てている人間がいると、不思議と自分が冷静になるのがわかった。
それでも、早まる脈は収まらなくて。


「…落ち着いて、落ち着いて聞いてくださいね」

「うん」

「敦賀真言が……――」

mokuji
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