他者紹介で自己紹介

「じゃ、会計も来たことだし改めて自己紹介しちゃおうか」


椅子に座った矢先、双子庶務の片割れが無邪気に微笑む。
それに答えるようにもう片方の庶務は「しちゃおーしちゃおー」と相槌を打った。
顔も声も体格も髪型も全く同じな二人は髪の色だけが違う。
確か、黒髪の方が兄の東茅(ひがしかや)で焦げ茶髪の方が弟の東皐(さつき)。
でかい図体とは裏腹に活発的で人懐っこいところが人気のようだ。
俺は、なんとなく苦手なタイプなんだけどね。


「こちらが生徒会長様様の玉城由良様と、副会長の石動千春さん!」

「それ、自己紹介になってない」

「ありゃりゃ、そーだね!まあいいや、んでそこの一々突っ込んでくるやつが各務陽平君でーす!」


立ち上がるなり役員たちに絡み出す茅と皐にくっつかれ鬱陶しそうに眉を寄せるよーへい君。
照れてんのかな。
と思ってたら双子庶務は俺の両サイドにやってきた。

ちょ、狭い。


「そんで君が」

「仙道京だろ?」


左右からのステレオボイスに思わず目が泳ぐ。
「まあ、さっき言ったしねえ」と小さく頷き返せば双子はにこりと笑った。


「俺は茅で」

「僕は皐」

「「今日から生徒会庶務になりましたー!よろしくね、京君!」」


見事声を合わせる二人のでかい声にびりびり鼓膜を揺すられる。
テンションたっけーな。
思いながら俺は「うん、よろしく」とだけ笑い返した。


「さて、庶務。長ったらしい自己紹介は終わりましたか?まあ、終わってなくても次に進めさせていただきますが」

「わー!千春さんの性悪ー!」

「はい、そこ煩いですよ。僕の台詞は極力潰さないようお願いしますね。あと性悪ではなく仕事熱心といってください」


ぶーぶーと不満そうにする双子にやんわりと微笑みかけるちーちゃんはパン、と手を叩き立ち上がる。


「ということで今日は今年一年の行事についてと僕たちの仕事について簡単に説明していきましょうか」


そして数時間後、俺はちーちゃんの簡単は当てにならないことを身を持って知らされる。

mokuji
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