乗って乗られて恩仇返し 「なっ…なにやってんだ、お前ら…っ!」 珍しく動揺する四川はわなわなと声を震わせる。 突然現れた四川に驚くわけでもなく、そのまま笹山は俺の下腹部に手を伸ばし、衣類越しに股間をぐりっと押されれば「ぁっ」と声が漏れた。 「ゃ…笹山……っ」 「どうしました?原田さん、顔が真っ赤じゃないですか」 「無視してんじゃねえよ酔っぱらいども!!!」 どうやらいなかったことにされたのが気に入らなかったらしい。 笹山の後ろ髪を掴み、無理矢理俺から引き剥がす四川。 「邪魔しないでよ」 「てめえ、それが俺に言うことかよ。人にお使い頼んで自分がそいつ介抱するとか言ってたくせに早速盛りついてんじゃねーよ!このぶりっ子ロン毛!」 よくわからない罵声を口にする四川に笹山は「ぶりっ子ロン毛……」と呟く。 ちょっとショックだったらしい。 後ろ髪を撫でる笹山の背後、四川は床の上に足を崩す俺を見た。 「っくそ、お前なんなんだよ。簡単にヤられてんじゃねーよ。俺のときはまじでいやがったくせに」 イライラが収まらないらしく矛先を向けてくる四川にまだ靄のかかった思考の中「笹山は、好きだし」と口にすれば、次の瞬間面白いように四川の眉がつり上がった。 「ぁあ?」 「お前は嫌いだけど。年下のくせに生意気だし可愛くねえし」 四川から顔を逸らし、そう唇を尖らせごにょごにょ呟く。 ビキリ、と四川の額に青筋が浮かぶ。 「……笹山は、優しいし」 そう続ければ「ありがとうございます」と微笑む笹山の隣、鬼の形相の四川の方からぶちりとなにかがキレるような音が聞こえた。 なにかと思い顔を上げようとしたとき、前髪を掴まれる。 「……人がせっかく心配してきてやったのによぉ、なぁ?そんなに男とヤんのが好きなら俺が相手してやるよ」 「言っとくけど、そいつより俺のが優しいからな」と笑う四川は無理矢理あげさせた俺の顔に唾を吐き、見下ろし、笑う。 「冗談じゃない」と不快そうに眉を寄せる笹山の声を聞き流しながら俺は唇に垂れたそれを舌で舐め取った。 爽やかなオレンジの味。 |