戸締まりの確認は厳重に

「はっ、ぁ…」


胸板から腹部にかけて舐められ、唾液で濡れた胴体は更に熱くなる。
笹山の舌が通った場所が蕩けたように疼いた。

臍の窪みに舌を這わされ、無意識に腰が跳ねる。


「…そこまで酒ついてないだろ」


顔が熱い。
暴れないよう太股を掴まれ開脚させられていた俺は腹部に顔を埋める笹山の背中に足を絡ませ、唸る。
れろりと中を抉るように舌が動けば、慣れない感覚にまた腰が揺れる。
くすぐったくて、そのもどかしさが気持ちよかった。


「どうですかね。原田さんはどこもかしこも酒臭いので」

「だって、お前が」

「ですから少しでもとお手伝いさせていただいているのですが」


腹部から顔を上げた笹山は太股の裏に唇を寄せ、舐める。
これじゃあ、マーキングみたいだ。
持ち上げた腿の付け根まで下りてくる濡れた舌の感触に「ぅ」と小さく喘げば、こちらに目を向けていた笹山は薄く笑った。


「笹山、そこは、いいから……っ」

「脚は嫌いでしたか。これは失礼しました」


性感帯ではない場所ばかりを舌で責められ、焦らされたような焦燥に堪えられずふるふると首を横に振れば笹山は申し訳なさそうな顔をして、そして微笑んだ。


「では、どこがいいですか」


つうっと腿の付け根を撫でられ、アルコールで血液の巡りがよくなり敏感になっていた俺の体は大きく震える。
一気に下腹部に血が集まり、疼く体を抑え込むように膝と膝を合わせ脚を閉じた。
顔が熱くなる。


「…どこでもいい」

「例えば」


とぼけたフリしてにこにこしながら更に追求してくる笹山が恨めしくて、俺はむっと唇を尖らせた。
熱が、耳まで回る。


「どこって…」


そう、口を開きかけたときだった。

勢いよく個室の襖が開く。


「おい、水持ってきてやっ……」


聞き覚えのある乱暴な声が聞こえてきたと思った瞬間、バシャッとなにかが溢れる音がした。
なんだ、人が喋ってるときに。
出鼻を挫かれ内心イラつきながら目を向けた先には、水の入ったグラスを手から滑らせ呆然とこちらを見る四川がいた。

mokuji
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