セクハラです

「はっ?あ、あるわけないじゃないですか…!」

「指でアナル弄ったりもか」

「な……っなんですか、ほんと。というか面接関係ないじゃないですか、こんな質問」


整った真顔で見据えられ、あまりにも馬鹿げた質問に顔面が熱くなっていく。
狼狽える俺とは対照的にまったく動じない店長は真面目な顔のまま「答えろ」と静かに問い掛けてきた。


「……っ」


なんでだろうか。
たくさん言いたいことはあったのにその低く鼓膜を融かすような甘い声に頭が真っ白になり、言葉に詰まる俺はぐっと歯を噛んだ。
そして、俺は店長を睨む。


「あ……あるわけないじゃないですか……っ」


緊張で声が震え、耳が熱い。
なんでこんなこと言わなければならないんだと殴りかかりたいところだがこんなセクハラ染みた質問でも一応面接の一環かもしれないし落ちるまでは下手な真似をしたくなかった。
目を泳がせ、なんだかもう羞恥で死にそうになる俺に対しにやりと下品な笑みを浮かべた店長は「処女か」と笑う。


「普通です」


まるで人を非処女かなにかかと思っていたような反応を見せる店長の反応が頭にきて、つい語気が強くなる。

日本人男性の八割くらいは処女に決まってんだろうが。
っていうかなんだよ処女って。
女じゃねーっつーの!


「なにを照れている?まるで生娘みたいな反応だな」


真っ赤になってしゅんと黙り込む俺に対し頬を緩ませた店長は「悪くない」と一笑し、立ち上がる。


「では答え合わせをするか」


そして机の上に置いてあるディルドを手にした店長はそう小さく笑った。

mokuji
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