酒を飲んでも吐き出すな 接種したアルコールが勢いよく血管を巡り、酷く全身が熱くなる。 そして腹の底からどっとなにかが込み上がってきて、嫌な汗が滲んだ。 やばい。 なんか気持ち悪い。 「二人とも、取り敢えず落ち着け。暴れるなら外でやれ、ここはまずい」 眠りこける紀平さんの頭をぺちんと叩き立ち上がった店長はそう二人に声をかけ、そして、その間にいた俺に気付いたようだ。 「って、原田?どうした?お前、顔色が…」 そう、心配そうな顔をして尋ねてくる店長の言葉に笹山と四川は俺に目を向ける。 そして、店長が言い終わるより先に俺の我慢が途切れた。 断末魔に似た自分の呻き声を聞きながら同時にその場に踞った俺。 真っ青になった笹山と四川。 店員を呼ぶ店長の声。 「あーあ、やっちゃった」という諦めたような楽しげな誰かの声を聞きながら、俺の悪酔いは最高値に達する。 |