拷問(またの名を面接)開始

関係者以外立ち入り禁止の扉から職員用の通路に入った俺は笹山に適当な部屋に案内される。
派手な店内とは違いなかなかまともな事務室の中。
そこに店長なる人物の姿はない。


「ちょっとだけここで待ってて下さい。すぐに店長呼んできますんで」


店長がいなかったのは笹山としても予想外だった。
「すみません」と何度も頭を下げる笹山になんだかこっちまで恐縮してしまいそうになりながら俺は大人しくパイプ椅子に座って待つ。

そして笹山がいなくなって暫く。
再び部屋の扉が開いたと思えば今度は見知らぬ男が入ってきた。


「ほう、貴様が面接したいと言っていた輩か。なかなか可愛い顔をしている」


艶やかな黒髪を右に流した長い前髪。
白い肌に長い手足。
こちらを見下げるその目は鋭く、長い睫毛が小さく揺れる。
下手したら女性にも見える中性的な顔の造形をした人物だがそのがっしりとした骨格はどうみても男のもので、高そうなスーツを着崩したその男は人を見るなり礼儀の欠片も感じさせない尊大な口調で続ける。
さながらホストなこいつが店長なのだろう。
残念ながら。


「あ、どうも……これ」


どんだけ上から目線なんだ、こいつは。と言いたくなるのを堪え、慌てて腰をあげた俺は鞄に入れていた履歴書を取り出した。
そしてそれを店長なる睫毛男に手渡せば数秒、ざっとそれに目を通した店長は事務机の上に置く。


「原田か。まあいい。さっさと面接を始めようか」


言いながら向かい側にパイプ椅子を引いた店長はそれに座り、長い足を組んだ。
そして怪しく笑う。

こんな礼儀のないやつが面接官で大丈夫だろうか。
なんだか不安になりながらも頷いた俺は渋々椅子に腰を下ろした。

俺が席についたのを見て満足そうに頷いた店長はなにやら机の下からなにかを取り出す。


「おい原田佳那汰、これを見てどう思う」


そしてそれを事務机の上に乗せ、こちらを見据える。
いきなり見せられたそれに「え?」と素っ頓狂な声を洩らさずにはいられない。

机の上には男性器もといちんこを象った肌色の玩具が置かれていた。
これってあれだよな、よくAVで見掛けるディルドってやつだよな。
自慢ではないが産まれてこの方妹以外の女とまともに触れあっておらず未だ童貞な俺がAVやエロ漫画で身に付けた性知識は伊達ではない。あてもならないが。

いや、今はそんなことはどうでもいい。
問題はどうどうとセクハラをしてくる目の前の変態野郎だ。

mokuji
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