人前でイチャつくべからず

「おい貴様ら俺の目の前でイチャイチャするな。くそっ、俺と代われ笹山!」

「なに言ってるんですか、店長が塗るっていったんでしょう。早く済ませて下さい」

「チッ、つまらん」


冷や汗滲ませる笹山に冷静に返されそう舌打ちをする店長。
面白味を求めないでくれ。
というかどこをどう見たらイチャイチャしてるように見えるんだ。睫毛が邪魔して視界が霞んでいるのか。
どこから突っ込めばいいのかわからずとにかくさっさと済ませてくれと自棄になった矢先、指が引き抜かれた。


「く、ふ……っ」


体内の異物感が失せ、ほっと安堵した矢先だった。
ぬるりとした液体を絡ませた店長の指にそこを撫でられる。
散々散々弄られ開いた肛門に指を捩じ込まれ、精液を拭ったばかりの内壁に今度はひんやりとしたそれを塗り込まれた。
慣れないひんやりとした感触にびくんと背筋が跳ねる。


「っぁ、やだ、なにこれ…っ」


逃げるように腰を浮かせ、笹山にしがみついた俺はそう自分の下腹部に目を向けた。
自分の下腹部に伸びる店長の腕が目に入り、無意識に声が震える。


「お前の怪我を治してくれる軟膏だ。どうだ、気持ちいいだろう」


ぐちゅり、と指の腹で内壁についた軟膏を伸ばされピリッとした痛みが走る。
どうやら裂傷に触れたようだ。
その事実に顔が熱くなり咄嗟に俯き堪えたが、店長の指は止まらない。
元々傷口に薬を塗り込むことを目的にしているとはいえ、痛いものは痛い。


「っあ、つっ、ぅう……ッ」

「……原田さん」

「笹山っ、助けて、笹山…っ」


あまりの痛みに耐えれず情けなくも泣きそうになりながらそう笹山に懇願すれば、笹山は困ったように眉を下げた。
そして、宥めるように優しく俺の背中を擦ってくれる。


「もう少しの辛抱ですからね、頑張ってください」


囁かれ、鼓膜から流れ込んでくるその柔らかい声音に全身の緊張が僅かに解れるのがわかった。
場違いながらもその優しさにすがり付きたい思いの俺はこくこくと頷く。

そのときだった。


「むむむ…っ、なんだこの俺が邪魔者みたいな空気は!二人だけの世界をつくるんじゃないぞ貴様ら!」


店長がまたわけのわからない理不尽なことを言い出したと思った矢先、ぐりっと中を掻き回され俺は「ひぃっ!」と目を見開いた。


「あっや、店長っ、やだ、店長っ痛い!痛いですっ!」

「そうか、痛いか。痛いだろうな。そりゃ痛くしてるんだからな痛くて当たり前だろう」


ふはははと偉そうに笑う店長は逃げる俺の腰を捉え、更に深くまで指を挿入させる。
体内を抉るその指はどうやっても傷を治療するそれではなく、まだ先程の性交によって沸いた熱すら引いていない敏感なそこは刺激に弱く、派手に掻き回されれば喉奥から「ぁう」と変な声が漏れた。
我慢しようとするが、嬲られれば嬲られるほど開いた口から「ぁっ」と声が溢れ、制御できない。
顔が熱くなる。


「店長、大人げないですよっ」


そう呆れる笹山に店長は「悪いか!」と開き直りやがった。


「治療に痛みは付き物だ。男ならこれくらい我慢しろ」


なんでこんなときだけ体育会系なんだよ。

mokuji
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