感じたくない既視感

「なっなに言って…!」


あまりにも突然過ぎる店長の言葉にぎょっとした俺はわなわなと震えながら店長から離れる。
同様、店長の問題発言に呆れたように目を丸くした笹山は「店長」と宥めるような口調で呼んだ。
そんな俺たちの態度にふんと鼻で一笑した店長。


「おっと貴様らなんだその変態か頭のおかしい奴を見るかのような冷ややかな目は。勘違いするなよ?別に嫌がるこいつに下半身を露出させそれを舐めるように吟味したいわけではない」


そしてやけに演技がかった仰々しい口調で続ける店長はそのまま俺に目を向け、いやらしく笑う。


「原田、お前紀平のせいで中が切れたようだな。せっかくだ、治療ついでにあの男に触られた箇所を綺麗に拭いてやろう」

「え、いや、いいです。いりませんから」

「そう遠慮するな、原田。そのまま放っておいて化膿でもしたら後々仕事に支障が出るかもしれないだろう」


言いながらにじり寄ってくる店長。
どんな仕事だと顔をしかめた俺は背凭れにしがみつくように後退し店長から逃げる。
そんな俺の隣に腰を下ろした店長はソファーから降りようとしていた俺の腰を抱き抱え、強引に自分の膝に座らせた。


「うちの店員がやらかしたケツ拭いは店長の俺がする。それが俺のモットーだ」


そんな下心満載の目で言われても威厳もなんもないんですけど。
両腕で腰を抱きすくめられ、密着する下腹部にデジャヴを覚えた俺はさあっと青ざめた。

mokuji
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