逃げるが勝ち 「ふ、ぁ…あぁ…っ」 どくどくと吐き出される熱に膨らむ腹部。 逆流するそれに軽いめまいを覚え、脱力しそうになる俺は目の前の棚にしがみつけば棚からガラガラと音を立ていくつかの商品が落ちた。 「あー、すげぇ気持ちい…っ」 そんなこと全くお構い無しな紀平さんは長い射精を終え、恍惚と息を吐く。 今の射精でいくらか収まった性器の隙間からは白濁が溢れ、それは紀平さんが性器を抜くのと同時に溢れ出すなり腿を濡らした。 「っは、ぁ……っくぅ……ッ」 異物が引き抜かれたはいいが散々弄ばれ傷つけられたそこはずくんと疼き、呻き声を堪えるように唇を噛んだ。 突き出した臀部。 開いたアナルから溢れる精液を指で拭った紀平さんは「ありゃ、やっぱ中切れちゃったみたいだね」と他人事のように笑う。 そして、その赤が混じった精液をまじまじと見詰め微笑んだ。 「ピンク色の精子ってさあ、なんか可愛くない?」 またわけのわからないことを言い出した。 場違いすぎるその言葉に眉を寄せた俺は「可愛くないですっ」と語気を荒くする。 そんな俺に特に悪びれる様子もなく紀平さんはくすくすと笑った。 「あ、そう?イチゴ味みたいで可愛いと思うんだけどなあ」 そう、紀平さんがのんきなことを口にしたときだった。 「紀平、貴様こんなところにいたのか!」 ふと、背後から聞き覚えのある怒鳴り声が聞こえてきて、いきなり現れたその第三者の存在に俺はびくっと目を見開く。 そして、恐る恐る近付いてくるそいつを振り返れば、案の定そこには店長がいた。 「って、て、店長……!」 「原田、お前、なんでここに…っ」 どうやら紀平さんの陰になっていた俺は店長から見えなかったようだ。 そう呼べば、俺を見つけた店長は呆れたようにそう何気なく視線を人の下腹部に向ける。 そして、その目はカッと大きく見開かれた。 「うっわ、やべ」 散乱する商品。 中に出された精子は俺の股を汚し、対する紀平さんは通常通り。 みるみる内に顔色が変わる店長に危険を察知したらしい紀平さんはそう笑みをひきつらせた。 わなわなと震える店長に一応被害者である俺まで青くなる。 どうすればいいのかわからず、とにかくこの場をやり過ごさなければと思いながら必死に服を着直したときだ。 ふと、棚と棚の隙間から手が伸びて俺の肩を優しく叩く。 「原田さん、こっちです」 振り返れば、笹山が手招きをした。 |