体は正直ですね

「もしかしてまだ店長になんもされてなかったりする?」


動きを封じ込められ緊張で硬直する俺からなにか悟ったのか、涼しげに微笑んだ紀平さん。


「じゃ、俺が一番乗りかな」


そうなんでもないように囁かれ、ぞくりと背筋に嫌なものが走る。

紀平さんの言葉の意味はこの状況から概ね察することは出来た。
出来たが、なぜその対象に自分が選ばれたのかが理解できない。


「っ、なに、言って」

「ん?今からかなたんのここに俺の突っ込むけどいいよねって聞いてんだよ」


言いながら上着の裾の下に隠れた尻を裾ごとたくし上げるように撫で上げられ、逃げようと身動ぎしたところを再度捕えられた俺の耳に唇を寄せた紀平さんは「いいよね?」とねだるような口調で問い掛ける。
鼓膜から浸透するその低く、しかし威圧感はなくどこか耳障りのよさすら感じるその声に先ほど舌で嬲られたときの感触が鮮明に蘇り、どくんと心臓が大きく弾んだ。
…このまま流されるのも悪くないかもしれない。
沢山の棚が並ぶあまり解放感があるとは言えないボックスの中。
そう、空気に流されそうになった俺はハッとし咄嗟に理性を取り戻す。


「ダメですっ、ダメですよっ!や、止めてください…っ!」


慌てて声を荒げ、紀平さんを止める。
よく考えなくてもこのままでは俺の貞操が危ない。
というか青春が。
あと男としてのプライドが。

外にいるのが客でもあの変態睫毛野郎でもいい、誰でもいいから助けてくれ。
あ、いやでもやっぱ店長はいやだ。

慌てて逃げようとする俺を見下ろし特に焦るわけでもなく相変わらず涼しい顔をした紀平さんは少しだけ眉を下げる。


「なんか俺が虐めてるみたいで心痛むなあ。かなたん見てるとちんこ勃っちゃった」


そしてなにを言い出すかと思えば腕を引っ張るように抱きすくめられ剥き出しになったケツに布越しのその嫌に固いものを押し付けられる。

全然痛んでねーじゃねーか。

mokuji
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