まるで猛毒に侵されるような、

「っや、あの……っちょ、待ってくださ、んぅっ」


言い終わる前に腰を抱き締めていた紀平さんの手が服の裾の中に滑り込み、全身が緊張した。
もぞもぞとエプロンの下をまさぐるその大きな手は腹部を撫でるように徐々に胸部へと近付き、慌てて背中を丸め手から逃げようとするが逃げれるはずがなく。
両手で抱き抱えるように胸板を揉まれれば、そのやけに手慣れたやらしい手付きに腰がずぐりと疼いた。


「はっ、ぁ、紀平さ、駄目ですってぇ……っ」

「店のど真ん中でオナろうとするくせに触られるのは駄目なんだ？」


「大して変わんないだろ」と紀平さんは可笑しそうに笑い、徐に乳首を引っ掻いた。
「んぅ」と小さく声を洩らし、もぞもぞと身動ぎをする俺。
なんとか紀平さんの腕の中から逃げようとするが、それを邪魔するかのように紀平さんは構わず乳首を捏ねるように潰す。
続けて引っ張られ、転がすように弄られればぞくぞくと背筋に甘い刺激が走り足腰から力が抜けそうになった。
咄嗟に紀平さんの腕を掴む。


「っ、ぁ、うそ、やめてください、紀平さっ、や、ぁあ……っ」

「なに？かなたんここ好きなの？すごい勃ってるけど」

「ちが、います……っ」


服の下で動く紀平さんの指に弄ばれるそこに神経が集まり、さらに乳首が凝るのがわかった。
その先端をなぞるように指の腹で柔らかく転がされ、耳許で紀平さんは笑う。
虚勢だとわかっているのだろう。


「耳真っ赤」


かわいいね、とくすくす笑う紀平さんは耳朶に唇を寄せ、そのままベロリと耳朶を舐め上げる。


「っひ、ぁ」


熱く濡れた舌の感触に全身が震えた。
慌てて逃げようとするが胸を抱える紀平さんに捕まえられ、そのまま耳朶の輪郭をなぞるように執拗に舐められる。
ピチャピチャと湿った音がすぐ側でし、耳の穴の入り口の周りを這う長い舌の動きに顔面に血が集まるのがわかった。


「うそ、うそうそうそうそ……っ」


ずるりと侵入してくる紀平さんの舌の熱に脳みそが当てられ、思考回路が真っ白になる。
相手の吐息が直接鼓膜に浸透して、まるで頭の中を直接犯されてるような錯覚に陥らずにはいられない。