触らぬ兄に祟りなし

「今すぐ医者を呼び佳那汰の怪我の手当をしてください。迅速に、少しでも跡を残さないように」

「は、はいっ」


残したらわかってるだろうな、と訴えかける様に近くにいた使用人に命じる兄は言うだけ言えば「お兄様痛いです、痛いです!そこは掴むところじゃありませんわ!」と喚くハルカのツインテールを手綱かなにかのように引っ張り、引きずり出す。

我が家ではわりと日常茶飯事なのだが、ここには数人の部外者もいるわけで。


「…………止めなくていいんですか?」

「他人の家の事情には口を出すべきではないからな」

「ここに来る前と言っていることがまるで違いますよ」

「正直なるべくあの人には関わりたくない」


そう真顔で答える店長に、司は「本音ありがとうございます」と同じく真顔で答える。
男としてどうかと思うが弟としてはその店長の答えは正解だ。触らぬ兄に祟りなし。

mokuji
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