二重の試練

この場を回避するため、咄嗟に口にした俺は恐る恐る四川を見上げた。


「……」


無言でこちらを見下ろしてくるやつ。
なんだこの異様な沈黙は。
俺なんか変なこと言ったか?言ったか。


「…例えば?」

「へっ?」

「なんでもって、例えばなんだよ」


そうくるか。
ははーん、そうやって俺からあらぬ言葉を言わせて辱める作戦だな?その手には乗るかよ!


「だからいろいろだよ、俺にできることならな」

「んじゃ脱げ」

「えっ」

「なんでもすんだろ?脱げよ」


えっ、ちょ、話違う。


「ちょっと待て、だから、今は、その、そーいうのはダメなんだって!」

「うるせえな、さっきから匂いがしてくせーんだよ。脱げよ」


そんな無茶苦茶な。
抵抗するも、あっけなく強引に上の服まで脱がされ、見事自宅でマッパする羽目になった俺は胸と股間を隠しながら「なにすんだよ」と四川を睨み付けようとして、なにかが視界に覆い被さってくる。
もそもそと動きながら、投げつけられたそれを手に取った俺はそのまま硬直した。


「こ、これって…」

「着替え、それでいいだろ」


そう、俺から手を離した四川はぶっきらぼうに呟く。
どうやら俺を着替えさせるために脱がせたようだが、ちょっと待って、これハルカの服じゃねえか。

mokuji
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