嫌よ嫌よも

「っ!!」


急に寒くなる下半身に青褪め、慌てて服の裾を引っ張って隠すが、遅い。
背後から両腕を束ねるように掴まれ、そのまま強引に引っ張られ抱き寄せられた。


「っおい、離せ…ッ」

「お前が素直に甘えねえからだろ」

「はぁ?!俺のせいかよ!」


あまりの横暴っぷりに堪らず声を荒げたとき、「そうだよ」と耳元で囁かれた。
吐息混じりの投げやりな声に、先ほどの熱を持っている背筋がぞくりと震える。


「……知ってんだろ、俺が嫌がられんの好きだって」


知るかよ。知らねーよ。知ってたとしてもだからなんだよ。
言い返したいことはいっぱいあるのに、言葉を発しようとした矢先に項に舌を這わされ、驚きのあまりに頭が真っ白になって。


「や…っやめろってば、何考えてんだよ、お前、飯なら用意してやるっつってんだろ!」

「んな毒が入ってそうなのより、こっちのがいい」

「毒って…っんん…ッ」


確かに、あり得なくもない話しなだけに一概には言えないけど、だからってこれはいいとばっちり過ぎるんじゃないのか。

逃げようとするけど、腕を引っ張られて離れられなくなる。
密着した背中が酷く熱くて、自然に汗が滲んだ。
首筋に滲む汗ごと舌で舐め取られれば、触れた箇所がじんじんと疼きはじめた。


「っ、……」

「…お前っていきなり大人しくなんのな」


「最初からそうしてろよ」と人を小馬鹿にしたように笑う四川の唇が、そのままゆっくりと背筋へと降りていく。
柔らかいその感触になぞられ、吹き掛かる吐息が、薄い膜越しに流れ込んでくる熱が、収まりかけていた熱を焚き付ける。

このままではまずい。
どうにかして上手くやり過ごさなければ、俺のケツが重労働に耐え切れず悲惨なことになってしまう。
そう思案した矢先、空いたやつの手が下腹部に伸びてきて戦慄する俺。

そして、閃いた。


mokuji
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