原田佳那汰と秘密の部屋

基本、誰も使わない地下は主にハルカの遊び場になっていた。
どっからか拾ってきた人間を飼う牢や、ハルカの趣味の代物で溢れかえった物置(使用人たちの間では拷問部屋とも呼ばれているらしい)、それとたまに先代たちが集めてきた骨董品などが入った倉庫など大半がハルカのもので溢れかえっていたが一部、ハルカが近づかない場所がある。

それが、この倉庫だ。


「くそ、しつけえな…。でも、ここなら来ないはずだ」


主に兄が個人的に使用している書庫は、主に大量のアルバムで埋め尽くされている。
小さい頃ハルカと一緒にうっかり迷い込んで、血相を変えた兄にこっぴどく叱られて以来俺達は近づかないようにしていたが、ここならあいつも来れないと踏んだ俺はこうして兄との約束を破り、再び足を踏み入れることになったのだが……なんか、すごいことになっている。
ふと近くにあったアルバムを手にとってみれば『佳那汰3歳の4月16日』とか書かれているんだが、あれ、うそ、まさかこれ一日一冊のアルバムかよどんだけ写真撮ってんだよそういややけに使用人たちがカメラを構えていたがまさかあれか。
中にはハルカの名前もあったが、カメラ嫌いのハルカは使用人たちのカメラ叩き割っていたので比較的俺の名前のアルバムが目に付く。


「お兄さんって、本当……」

「言うな、なにも言うな…耐えろ…」


あまりにも怖くてアルバムの中身を見ることはできなかったが、どうせろくでもないのだろう。
翔太もそれを察しているらしく、それ以上は触れて来ない。

書庫の奥までやってきた俺達はきょろきょろと辺りを見渡しながら探索していた。
すると、遠くから足音が近づいて来るではないか。


「うっそ、……まじで?」


ここまで入ってくるのかよ。
お兄ちゃんにどやされてもしらねーぞ。
なんて呆れていると、翔太に腕を引っ張られた。


「カナちゃん、ここに隠れれそうなところがあるよ。早くっ!」


自分を棚に上げて、勝手に入ってくんなと言い返したいところだったが今は身を隠すことを優先すべきだろう。
「ああ!」と頷き返し、急かされるがまま俺は翔太についていった。



mokuji
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