時既に 「とはいえ、俺に非があろうがあの人のあれは異常だ。……原田が心配だな」 「今自分が関わりたくないって言ったばかりじゃないすか」 「そうだけどな…そうだけど、ここまで関わってしまっているとほっとけないっていうか」 そう、ゴニョゴニョと口籠れば「お人好し」と四川は吐き捨てるように呟く。 こいつには仮にも上司である俺を何だと思ってるのだろうか。やつの教育を紀平に任せたのが悪かったか…。 「店長のそういうところ、好きですよ」 なんてぐぬぬと一人悩んでいると、四川とは対照的ににこりと微笑んだ笹山はさらりとそんなことを口にする。 「笹山、貴様この俺まで誑かす気か…!」 「な、なんでそうなるんですか!違いますよ!」 「なんだ、違うのか。ややこしいやつめ!」 「なにこの言われよう…!」 しかし、それにしても笹山と四川は対照的過ぎる。 仲良くするついでに四川は笹山に性格を直してもらえばいいのだが。 「おい四川、今更礼儀云々言わないが、笹山のタラシスキルくらい身につけろ」 「ふん、ばっかじゃねえの」 「あっ阿奈、どこいくの」 「帰る。……白けた」 ぷいっとそっぽ向き、そのまま事務室を後にする四川。 どうやら笹山と比べられたことが面白くなかったようだ。 こういうところは歳相応だな、と思いながらもその背中に声を掛けることはしない。 出ていく四川に戸惑いながらも黙って見送る笹山。 ついて行ったところで噛み付かれると分かっていたのだろう。 しかし、今思えばやつの意思を無視してまで引き止めればよかったと思う。 まあ、今更何言ったところで全て遅いわけだが。 |