割れ物注意 痺れ、熱を持ち始めるそこは痛みで敏感になってしまったようだ。 ヒリヒリと痛む臀部を指でなぞられれば、頭ん中に直接指の感触が流れ込んできて。 ゾクゾクと背筋が震える。 「ひっ、…や…ぁ……っ」 「『お兄ちゃん、ごめんなさい』だ」 「……っ」 「佳那汰」と、促すように耳元で名前を囁かれる。 ここで兄に従えば、それまでだ。 せっかく、せっかく離れることができたと思ったのに、ここで間違ってしまえば全てはパアになる。 逃げるように必死に縁にしがみついた俺は、首を横に振った。 「っやだ……いやだ……っ」 そう、搾り出すように声を上げれば、僅かに兄の表情が凍りつく。 そして、先程までと変わらない無表情に戻った。 ゆっくりと目を細めた兄は小さく息をついた。 「そうか。残念だが、物分りの悪い反抗的な子供には体に直接叩き込んだほうがいいみたいだな」 「っぁ、だめ、痛いのは…っ」 「痛くなかったらお仕置きの意味がないだろう」 バタつかせた足を封じ込まれ、そのまま腰を持ち上げられた瞬間。 スナップを効かせ、思いっきり濡れた尻を叩かれる。 パンッと肌を打たれ、痺れていたそこは強い刺激を受け更に熱くなり。 「――ぁあっ!」 刺すような痛みに大きく仰け反り、堪らず目を見開く。 じんわりと涙が滲み、じんじんと痛むそこを押さえようと手を伸ばしたとき。 手首を掴まれる。 「まさか、一回や二回程度で終わると思ったのか?考えが甘いのは昔から変わらないな」 「ひぃっ!」 三発目。 恐らく赤くなっているであろうそこに平手で打たれれば、目の前が真っ白になり思考が吹き飛びそうになる。 ばしゃりと、水の中飛び上がった俺は腰を捩らせ、兄の下を掻い潜ろうと藻掻くが、掴まえられた下半身は思うように動かなくて。 「っお兄ちゃ、やめろってばっ、痛いって言ってんじゃんっ!」 焦りや動揺、痛みに対する恐怖からか情けないくらい自分の声は震えていた。 懇願するように声を張り上げれば兄はこちらに目を向け、 「断る」 「んんっ!」 四初目。 痺れで疼き、連続して痛みを与えられたそこは痛覚が麻痺しはじめてきたようだ。 代わりに、叩かれた手の感触が鋭い衝撃となって脳味噌を刺激してきて。 馬鹿みたいに熱く、疼き始めるケツに違和感を覚える。 「あっ、や、ぁ、熱い…っ、ヒリヒリする……っ!お尻割れたらどうすんだよぉ…ばかぁ…っ!」 痛みと熱で頭の中がグチャグチャになって、なにがなんだかわからず混乱する俺にはもうケツを隠すとかそんな次元の問題はとても些細なことになっていたのだろう。 泣きじゃくる俺に兄は仏頂面のまま赤く腫れ上がる俺の尻を撫でる。 その感触にひいっと身震いしたときだった。 「責任取ってやる」 五発目を構える兄に俺は凍りつく。 俺の尻、さよなら。 |