落とし物にご用心!

四川阿奈に案内されてやってきたは店内に近い位置に設置された男子更衣室。
壁際にはぎっしりと個人ロッカーが立ち並び、誰かの私物だろうか脱ぎ捨てられた服や鞄などが放られていた。
充満した香水の匂いに軽い吐き気を覚えつつ、いつぞやお邪魔した運動部の部室と目の前のこの部屋がだぶる。男子高校生並みかそれ以下の散らかり具合。
そんな光景にもすっかり慣れているのかなに食わぬ顔して更衣室に足を踏み入れる四川はそのまま部屋の隅に積まれた段ボールへと近付き、中からくしゃくしゃになったエプロンを取り出す。
そしてそれをこちらに投げて寄越した。
間一髪受けとる。


「ほら、エプロン」

「あ…ありがとう」


そう戸惑いがちにお礼を口にすれば相変わらず興味無さそうな顔をしてこちらを一瞥した四川は「どーいたしまして」とぶっきらぼうに呟いた。


「そっちに名札ついてないロッカーあるからそこに荷物入れとけよ」


そして思い出したように俺の側に並ぶロッカーを指差す四川はそれだけを言って自分のロッカーの前に立ち、着替え始める。

わりと面倒見がいいのかもしれない。

愛想がいいとは言えないがなんだかんだ教えてくれる四川を見直しつつ、やつに見倣ってさっそく俺も着替えることにする。
とは言ってもただエプロンを着るだけだ。
四川の言う通り鍵がついたままの名札がついていないロッカーを見付けた俺はその中に荷物を入れ、着ていた上着を脱ごうとした。
瞬間だった。

ごとり。
そんな音を立て、上着のポケットからそれは落ちる。

足元に目を向ければそこにはまんま男性器を象った肌色のディルドが転がっており、俺は全身から血の気が引いていくのを感じた。

mokuji
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