新手の営業妨害 「どうしたんですか?お二方。そんな怖い顔して…」 真っ青になる俺と翔太が気になったようだ。 不安そうな顔をした笹山がこちらを覗き込んでくる。 大丈夫だと笑い返したかったが、引き攣った顔の筋肉は強張るばかりで。 そんな俺のことを知ってか知らずか、店長はふふんと笑う。 「なんだ。お友達といい兄といいどうやらお前の身内は過保護な奴らが多いな。しかし、お義兄さんか。今後のためちゃんと挨拶しないといけないな」 「だ、ダメですっ!」 思わず、叫んだ。 その声に驚いた店長たちが「え?」と目を丸くする。 そして、自分でも驚いていた。 俺は思っていたよりも動揺しているようで、声の震えがそれを教えてくれる。 「俺は、いないと言ってください」 今度は声を抑え、その場にいる人間に告げた。 翔太を除いて、みんな何がなにかわかっていないようで不思議そうに顔を見合わせる店長と笹山。 そんなところに、もう一人空気の読めない奴らがやってきた。 「おい、原田。なんかお前のにーちゃんが来てんだけど」 事務室の扉が開き、面倒臭そうに入ってきたのは四川だった。 にーちゃんという単語にまさかと青ざめた時、四川を追いかけるようにして「原田さーん、おにいさーん」と別の店員が声を掛けてくる。 というか、いったい何人に俺探させてんだよ!新手の営業妨害かよ!! |