本末転倒再起可能

そう、元はと言えば先日翔太にケツ見られたことから始まった。
定期的に身体検査をし、薬を塗らなければと迫る翔太から逃げていたのだが、捕まった。最悪だ。今に始まったことではないが、最悪だ。


「大体、そんなとこ、自分で触れるわけねえだろっ」

「だから、僕が塗ってるんじゃん。ほら暴れないで」


滑るように根本まで入ってきた一本の指に内壁を撫でられ、こそばゆさに「ひっ」と息を呑む。
慌てて逃げようとするが、長い翔太の指から逃れることはできず、ぐにぐにぐにと執拗に薬を
塗り込まれれば背筋が震えた。
羞恥か、それとも薬のせいか。
全身が熱くなった。


「いやだ、くそっ、やだ、気持ちわりい、抜けバカッ」

「今まで散々カナちゃんの面倒見てきた僕に対してそんな口聞いていいのかな」

「それは善意で治療してくれる奴のセリフじゃねえだろ、って、ぁ、ちょ、待っ、んんっ!」


二本目の指が、入り口を広げるようにして入ってくる。
すでに薬をタップリと塗り込まれ、ぬるぬると滑るそこは簡単に二本目の指を呑み込んだ。
圧迫感と言うよりも、かゆいところに手が届くような心地よさを覚え、激しく自己嫌悪に陥る。


「っ、ふ、ぅ…や、翔太ぁ…っ」


体内の二本の指がそれぞれ別の動きをする度に、指の関節の微妙な凹凸すら鮮明に感じてしまうくらい頭の中は指のことでいっぱいになって、余計、頭がおかしくなりそうだった。


「っん、んんっ、ゃ、ほんと、駄目…っ」


腰から力が抜けそうになり、思わず翔太の服にしがみついた。
やばい。
息が荒くなり、全身の熱が増す。
あくまで薬塗りなので気持ちよくなってはいけないとわかってはいたが、指が、その動きが、不健全すぎるのだ。

やばい、やばい。
全身の熱が股間に集まるのがわかり、慌てて身を引こうとしたとき。
腹部に、硬い感触が当たる。
なんとなく違和感を覚え視線を下げた俺は、自分に擦り付けられる翔太の下半身にぎょっとした。 

なんでこいつ、勃起してんだよ。
というか、


「おいっ、それ、擦り付けてんじゃねえよっ」

「付けてないよ。当たるんだってば」

「じゃあ早く離れ…って、ぁっ、おいっ、なにやって……!」

「はっ!無意識に…」

「嘘つけ!!」


ちゃっかりジッパーを下ろし、確実に治療には必要のないものを取り出そうとする翔太に金的を食らわせる。
床の上で前かがみになり悶絶している翔太にやり過ぎたかもしれないと反省したが先程よりも勃起しているやつに軽蔑の眼差しを向けながら俺は服を着替えて便所を後にした。


mokuji
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