迷惑なギャップ 背後で司が動く。 手錠の鎖が小さな音を立て、そして、次の瞬間だった。 ぶちっと音を立て、鎖は引き千切られる。 「うおっしゃああああ!!やっと!開放されたああ!!!」 ようやく腕を束縛するものがなくなり、とは言うものの千切れたのは鎖だけで手首には手錠がしっかり残っているが、俺にとっては些細な問題だった。 ようやく、ようやく服を着れる! 「よかったね、原田さん」 「あぁ、ありがとな、司」 「いいよ、別に。あのまま放置しとくわけにもいかなかったし」 目があって、そっぽ向く司はそうなんでもないように続ける。 もしかしてこいつやっぱり結構良い奴なのかもしれない。 「司…」 本当に、ありがとう。 そう、心の中で呟いた時だった。 俺の思念が届いたのか、不意に肩を掴まれる。 顔を上げれば、司と目があった。 僅かに、司が微笑んだような気がしたが、次の瞬間にはいつもの仏頂面に戻っていて。 「、あの、つか」 「じゃあ、気を取り直して」 「……え?」 前言撤回。 こいつはただの性欲過多の絶倫野郎だった。 |