気まぐれ注意報

「変なことって、酷いな。…原田さんが脱がせろって言うから手伝ってるだけなのに」


俺の言葉が気に入らなかったらしい。
無表情だからだろうか、なんだか怒ってるようにも見える司に怖気づいた時、下着の裾から滑り込んできた司の指に性器をなぞられ思わず「ひ」と息を呑む。


「待って、待った、ごめんてば」

「だめ、許さない」

「っ、そんな」

「って言ったらどうする?」


はったりかよ、こいつ。
からかうような司の言葉にまんまと引っかかってしまった自分が恥ずかしくなると同時に、動きを止めない下着の中の指に全身が竦む。


「っ、ん、う、ぁ」


司が指を動かす度にくちゅくちゅと濡れた音が下着の中から聞こえてきて顔が熱くなる。
勃起し、下着のしたいっぱいいっぱいに膨張したそこを根本から先端にかけてゆっくりと先走りを塗り込むように扱きあげられれば腰がビクンと跳ね、巡る熱に心臓が破裂しそうになる。


「ぁ、はっ、やだ、つかさ」

「我慢して。これ、抜かないと下着脱がせられないし」


壁に背中を擦りつけば、目の前、覆いかぶさるようにしてこちらを覗き込んでくる司に唇を舐められる。
拍子に裏筋を強く擦られ、背筋にぞくんと強い快感が走った。


「うそだ、ぁ、つかさのうそつき、うそつきぃっ」

「本当。わからない?原田さん、こんなにちっちゃいパンツ履いてるから引っかかってるんだって」


こんなパンツ履いてこんなになるまで勃起する方も方だけど。
そう続けるや否や強引にスカートの裾をまくられ、腰を突き出すように背中を抱き寄せられた。
肩が壁に当たり、目の前に晒されるのは大きく乱されたスカートの下、女物の下着の中から零れそうになった自分の性器が司の細い指に掴まれしごかれ嬉しそうに先走りを垂らしている光景だった。
まともに自分の格好を見ていなかった俺は、今目の前のひどくショッキングな映像に泣きそうになると同時に、それから目をそらすことができず、それどころか自分が性器への愛撫を受けているという視覚的実感に全身の骨がドロドロにとろけてしまいそうなくらいの甘い刺激に胸が震える。
高揚感。
服装のせいだろうか。
まるで本当に自分が女にでもなったかのような錯覚に、今辱めを受けているのは自分ではなく別の誰かのような気がしてさらに興奮が湧き上がる。


「っは、ぁ、やば、つかさ、だめ、いきそ…っ、イッちゃう、まじ、やばいってば、ぁ、は、っんん!」

「いいよ、出しても。どうせ脱ぐんだからそれ、汚れてもいいし」

「っひ、ぃ、あっ、や、つかさ、だめ、つかさっ、つかさぁっ!」


性器を扱く司の手が早くなり、絶頂が近づいた俺の体はガクガクと痙攣する。
次ぎから次へと性器へ加えられる刺激に目の前がチカチカと点滅し、開いた口を閉じることすらままならず唇から唾液が溢れる。


「っァ、あぁ、やば、も、無理、無理っ!イク、イクっ!」


もはや自分が何を口にしているかすらわからなかった。
麻薬にでも侵されたみたいにとろけた脳みそは全身を巡る血液を馬鹿みたいに熱くし、根本から先端へと絞り上げるような乱暴でいて丁寧な手コキに引っ張られるように腰が震えた。
集まった血液で真っ赤に充血した性器は今にも破裂しそうで、はっはっと獣か何かみたいに息を上げ涎を垂らす俺を見下ろす司はそんな俺を見て確かに口元を歪めた。
そして、次の瞬間。
ぎゅう、とガチガチに勃起した性器の根本を掴まれる。
今にも射精しようとしていた性器は行き場をなくし、体内で暴れ始める。
「っくぅ」と、呻き、司を見上げれば息苦しさと焦燥感のあまりに涙が滲んだ。


「やっぱりイッちゃダメ、って言ったらどうする?」

「泣かす」

「原田さんのが泣いてるじゃん」


まぁ、可愛いからいいけど。となんでもないように呟く司はそれだけを言って、なんの前触れもなく俺の性器から手を離した。

mokuji
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