廃棄寸前コスプレ衣装有効活用法 「なに、や、ダメだって、司」 雑に、無規則に滑るハサミに至るところを切り刻まれ、そのくせ衣装は脱げないような切り方をしてくる司に慌てた俺は後ずさる。 壁に背中が当たり、目の前の司はボロボロになって破けてしまったのにも関わらず俺の体にしがみつくように形を崩さない衣装を眺める。 「なんで勝手に切っちゃうんだよ、ばか」 「脱がなくていいの?」 俺はそっちのが好きだけど、となんでもないように言い足す司に俺は「もう切ったんだろ」となんだかもう泣きそうになった。 「ここまでしたんなら、最後までしてくれ」 「誘ってんの?」 何気ない調子でとんでもないこと口にする司に「はい?」と聞き返したとき、まだ傷つけられていなかった胸元のエプロンに司の手が伸びる。 丁度乳首の辺りのレースを摘まんだ司は、そのままスッと刃をいれた。 右胸に一直線の線が走り、その下の素肌が切れ目から覗いた。 「っ、なぁ」 離れるハサミ。 生地の一部のみ刃を入れるだけで、なかなか服を脱げるくらいの大きな切れ目を入れることをしてこない司に違和感を覚えた俺は思いきって尋ねる。 「なんで、こんな、変な切り方するんだよ。これじゃ、脱げないだろ」 胸元の切り口から自分の乳首がちらちら覗いてるが視界に入り、小さく勃起しているそれを隠したくて堪らなかったが腕が使えないだけにそれはできなかった。 もじもじと胸元を隠すように前屈みになれば、俺を見下ろしていた司の視線は俺の胸に向けられる。 やつがどこを見ているのかがわかり、顔が熱くなった。 「脱がせるよ、ちゃんと」 不意に、司の手が胸元に伸びる。 切り口を広げるようにして衣装の下の地肌へと触れてくるその指先にびくりと跳ね、慌てて後ずさろうとしたとき、そのままぎゅうっと乳首を摘ままれた。 「っや、ぁ」 「脱がすのはすぐ終わるから、どうせなら有意義に使った方がいいだろ」 その友達も喜ぶだろうし。 そう相変わらず読めない無表情で続ける司に壁際に追いやられ、逃げ場を失った俺は混乱と弄られる胸からやってくる快感に震え、やつの顔を見ることができなかった。 類は友を呼ぶとはいうが、本当にあの店にはまともなやつがいないのか。 そう嘆く自分の胸が酷く騒がしくなっていることが一番嘆かわしい。 |