SSS『暴風雨と子供らと、重鎮と副官と軍吏長と…』
2014/10/06 11:57

「今日は恐ろしいまでの暴風雨だなあ…チャカ」
「…ああ、この雨季最大だと天文官が」
「…はあ…それだと言うのに子供らは何をやっているんだ……」
「最近はあれをてぃーえむあーるごっこと言うらしいがな…」
「何故雨風の吹き荒れる中飛び出して行ってあんなに楽しそうに両手を広げているんだ…危ないから止めさせよう……全く子供の考えることは分からない…」
「…ペルよ、でも、お前とあいつの二人とて子供の頃は……」
「…やめろ! その過去を口にするな!」
「しかもそれを大勢の大人に見られて国王軍総勢三十人くらいの兵から説教を……」
「思い出したくない!!やめろ!!!」
「……何はともあれ、子供の内は馬鹿をやりがちだ。早く止めてやらねば………おい」
「どうした」
「雨風に打たれる子供らの中に、水色の御髪が見えた気がした……」
「ま…まさか………あ! ビビ様!!!」
「何ということだ…お風邪を召されては大変だ、早急にお連れ戻して」
「…………おい待て、ビビ様の後ろで雨風に打たれているでかい影二つは何だ……」
「……まさか………」
「…………間違いない…イガラムさんと………国王だ。」
「…………! 一国の王が何ということを…しかもあの人何だか楽しそうだぞ…」
「…これは国家の威信に関わる…!至急連れ戻すぞ…! チャカ、行こう…!」
「………いや、人手は既に遣られているようだ…」
「なに?!」
「……見ろ、あの雨風に打たれて楽しそうな子供らと中年二人の間で、死んだ顔をしている女を…」
「…………あいつが行っても止められなかったのか…」
「…王命だとか言われて丸め込まれたんだろうな…哀れだ…」
「かと言って王女と国王のお戯れを放って置くわけにも行かず、立ち尽くしていると………なんと…」
「軍吏長は何徹明けだ…? 隈だらけの顔が既に般若の形相だ」
「………あー…怒り心頭なんだな…怖いぞ、テラコッタさん直伝の説教が爆発する………」
「………それは…怖いな…」
「…チャカよ、悪いことは言わない、このまま眺めていればその内丸く収まる…」
「あ、あいつ爆発したぞ…」
「何か怒鳴っているな…聞こえるか、チャカ…」
「………暴風雨に感謝しよう。音が不響のお陰で奴は不敬罪で罰せられない…」
「一体あいつは何を口走っているんだ………」
「…あ、子供らとビビ様が宮内に逃げ出した」
「………だがその先にはタオルを持つ、テラコッタさんと書いて魔王と呼ぶ人が待ち受けている………お風邪を引かれる心配は無いだろう…」
「………国王とイガラムさんは…ああ……何ということだ…」
「………この暴風雨の中正座させられている……」
「軍吏長恐ろしい」
「次期宮殿最強女史はあいつだな」



軍吏長『貴様らも見てないでこちらを手伝わんかァァァァ!!!!!』




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暴風雨の中TMRごっこするチビどもと、初めは止めてたけど段々楽しくなって良い年して一緒に遊んでる重鎮二人と、止めに入って止まらずずぶ濡れブチ切れ軍吏長。
と、それを眺める副官二人。

TMRごっこは危険なのでやめましょう。
暴風雨の日はお家の中でじっとしていましょう。
遊んでる子供を見かけたら、危ないので止めさせましょう。
あと軍吏長を煽るのも危険なのでやめましょう。

傍観者を気取っていた副官二人も国王様たちと同じ末路を辿ったでしょう…南無………



追記
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兵士1「お、晴れたな」
兵士2「…………おい…あれ見ろよ……」
兵士1「…あっ、あれは! 国王様ッ…!と隊長!!何故ずぶ濡れで庭園に…!」
兵士2「しかも何故正座……ん? …よ、よく見たらチャカ様とペル様までも…!」
兵士1「…そ、そんな…っ!国王軍の理性と名高いお二方が一体何を!」
兵士2「そしてあの重鎮揃いを正座させ…!」
兵士1「その真正面に仁王立つのは…!」


「「軍吏長!!!!!」」



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最近はテラコッタJr.とかあだ名付けられてる軍吏長。




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