SSS『男ども』
2014/09/08 03:11

回廊にて.


「……ああ、また軍吏が医務室で倒れている…」
「あいつは薄情な女だ」
「あんな子に育てた覚えは無いぞ!」
「私のビビちゃんが取られた…!」
「…いや、そんな事より決算の心配を………」
「全くあいつはどうしてあんな天邪鬼に育ったのでしょう!親の顔が見てみたいですね!」
「…何だと小僧、私に喧嘩を売っているのか…!」
「イガラムさん、恋人に日々つんけんされる此方の身にもなって下さい! もっと素直に育ててあげられなかったんですか…!」
「そもそもお前に娘をやったつもりは」
「なんですって!ちゃんと交際の折ご挨拶に伺ったでしょう!」
「あれとこれとは話が別で」
「……うっうっうっ…ビビちゃんもいつかお嫁に行っちゃうんだ…うっうっうっうっ…」
「うちの娘はまだ嫁になんて出さないぞ!!」
「いいえ必ず私の妻にします」
「なんだとこのガキャァ…!」
「………うううぅぅ私のビビちゃんも何処の馬の骨とも知れない男に……やるかってんだコンチクショー!!」
「だいたい二十年近く想いも打ち明けられずにウジウジしていた軟弱者なんかに娘をやれるか…!」
「う…それは…」
「そら見ろ!言い返せないだろう!やーいやーい!」
「………それでも私は、娘さんを愛しています」
「…………(胃が痛い…胃薬でも貰いに行くか…)」
「……な…なんて真っ直ぐな眼差しなんだ…」
「…ウッウゥ…こんな若者がもし現れたら……私は…私はビビちゃんをお嫁に…出し、だじだぐないぃ………」
「だがしかし娘はやらん!」
「往生際が悪いですよイガラムさん…!」
「べーだ!」
「子供ですか…! でも貰いますからね!」
「お前の方こそ往生際の悪い…!」
「ビビちゃんは死んでも守る…!」
「………あ、また軍吏が倒れた…はあ…医務室に連れて行ってやるか…」
「そんなに娘が欲しければ私を倒して行け!喰らえ必殺"イガラッパッパ"!」
「…くっ…!」
「うわっ…!王宮内で重火器の乱発は禁止ですよ…!イガラムさん!」
「娘が手元にいるのはほんの一瞬………もう執務なんてやってらんないもんね!ビビちゃーん! パパと一緒に遊ぼー!」
「……国王!何処へ行くのです! まだ片付けていない書類が執務室に山積みなのに!」
「おのれ娘を奪う馬の骨め! 喰らえ連発"イガラッパッパ"!!」
「壁に穴が…! お止め下さいイガラムさん…! 直す予算が枯渇しているんですよ…!おいペル、お前も何とか言って………」
「……止めてくれるな、チャカ…これは男の闘いだ…!」
「…フッ…いい根性だ、若造め……」
「此方も手加減は致しませんよ…」
「ビービちゃーん!」
「………………(胃薬飲みたい…)」





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なんかカオスなの書きたかったんです。
チャカさまごめん。
一にビビ様二にビビ様三四にビビ様五にビビ様の軍吏長へ、ペルさんとイガラムさんが「おれは…?」「お父さんは…?」と尋ねても「へっ」と返されるだけでしょう。どんまい。




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