短編 | ナノ


開幕早々いかがわしい注意
まほうのオナホネタ(えろはふぁんたじー!)














(あれ、)

そろそろ寝ようかな、とベッドに潜り込んだ体に違和感を感じた。布団をはいだけど、こんな自室に誰かが潜んでいるわけもなく、

くち、

「っ」

水音と確かに触れられた感覚がして、違和感を感じた足の付け根へと視線を落とす。
何かが触ってる、のに何もない。

一向に止む気配のないその感触は、僅かに体を動かした拍子にしわを寄せたシーツの音にかき消されてしまうほどの音を立てながら秘部を弄んだ。


「や、なに。やだっ」

静かな部屋。私以外誰もいない。
そんな戸惑いと止まらない刺激にどんどん血流が加速して、逆にあっという間に火照りが広がってしまう。

「え、うそ、あっ......んんっ」

入り口を弄ぶうちに水音が大きくなって、するりと何かが中へ入り込んだ。
誰かの指に触られているみたいに壁を押され、擦られ、これは本当に人の手なんじゃないかと思い始めた時には、中はめちゃくちゃだった。


「んっぁ、ひぅ」

強さも触れ方もばらばらに与えられる刺激、そして僅かに出入りしているのか、控えめだったそこはどんどん濡れてはしたない音を立てていく


ぐちゅ、じゅ、ぽ、ぐちぐちっ

「あっ、んん......だめ、だめっ」

どうにか耐えれないかと耐えきれず倒れた体を回転させる。うつ伏せて体を丸めながらやり過ごそうとした私を嘲笑うように、手のような何かは動きを早めた。
中に入ったまま、波打つように一点を刺激される。

「あんっ」

口からさっきよりとびきり大きく飛び出た声に、聞いている人なんていないはずなのに咄嗟に口を覆う。
おさまった動きになんとか呼吸を落ち付けようと肩で息をすれば、おさえる指の隙間からふーっふーっとまるで獣のような呼吸ばかりが耳に届いた。


ぐちっじゅ、ずぷ、くちゃ、

「ひっん、あっあっ、あっ......!」

不意に再開された刺激と水音
それは先ほど曝け出されてしまった一点をただひたすらに突いてきた。


(だめ、きちゃ......っ!)


こんこん、


ノックが響いた。
さぁっと顔から血の気が失せていく。

(やだ、誰?お願い。早くいなくなって......!!)


「んっ」

枕を手にとって必死に音が漏れないように口をそれで抑える。水音だけが止まってくれなくて、ぎゅうと縋るように掴む腕は強さを増す一方だ。


「なまえ、俺......イライだけど」
「っ」

(起きてないっ寝てるっ寝てるからっ......!)

「さっき部屋から切羽詰まった声が聞こえたような気がして。大丈夫かい?」
「ん、ぅ」

ぐちゃっ、ぬぷ...っ

「なまえ......?」
「ん、む......んんっ」

大丈夫、このまま黙っていればきっと帰ってくれるはずだ。必死に我慢を続ける私のびしょびしょになった、その僅か上部に何かが触れた気がした。
そう気付いた時にはもう遅くて。

「ひゃぁっ!?」

ぬるり、と腫れ上がったクリトリスを撫で上げられて声が大きく出てしまう。


「なまえ、入るぞ!?」
「っいらい、だめっ」


ああ、こんなことなら鍵をかけておけばよかった。そんな後悔も先に立たず、ドアを開け放ったイライと目が合う。
しっかりと枕を抱えて、今まで暴れまわっていたせいでぐしゃぐしゃなシーツの海に息の荒いまま座り込む私に、彼はすぐに駆け寄ってきた。


「どうしたんだ!?」
「な、なんでも......なんでもないから」
「でもドアの外まで声が聞こえたよ。ちょうど通りがかったからなんとか聞こえたけれど、......顔色も悪いし息も荒い」
「ちょっとその、夢見が悪かっただけだから」

室内でも変わらずその目は覆い隠されているというのに、視線から隠すように足を擦り合わせて俯いた。心配してくれたのに失礼かもしれないけれどそのまま黙り込む。だって、もしまたあの刺激が来てしまったら、わたし彼の前で。


「......水とタオルを取ってくるよ」

そんなわたしを見下ろした彼は、優しく乱れたシーツを私に被せ水場へと向かった。
部屋の備品やレイアウトはどこも対して変わらない。迷うことなく目当てのものを手に戻ってきたイライからタオルを受け取って汗を拭う。


「あの、ありがとう」
「気にしないで。俺こそ急に女性の部屋に押し入るような真似をしてすまない」

汗を拭いている間、恐れていたことは何も起きなかった。気遣ってくれる声と見知った人がいるという安心感に心が落ち着いていく。


「そんなことない。心配してくれて嬉しいよ」
「そんな......ああ、ほら。水も」
「うん」

おずおずと僅かにひとくち
冷たさが火照った体を元に戻してくれるようで、煽るようにまたグラスを傾ける

ぬる、


「ん、ぅっ......!げほっ、けほ」
「なまえ!?」

ばしゃりと落ちたカップが服とシーツを濡らしていく。体を丸めて思いきりむせるとイライがゆっくりと背中をさすってくれた。けれど、


「ぁ、くっ」

ぬるりと滑るそこにまた刺激がきた。
まだ優しくなぞるような程度で済んでいるけれど、ふと膨らんだ秘豆に近づくたびにひくりと肩が揺れてしまう。


「大丈夫か。苦しいのか?」
「っ......!」

いま口を開いたらみっともない喘ぎ声を漏らしてしまいそうで、首を横に振って必死に大丈夫だと、きっとそうは思わないだろうけれど必死に振る。
だめだ、頭を振ったらなんだかぼわぼわしてきて、だめ、このままじゃ私イライの前で、あ、


「.........ぇ?」

すぅ、とまた刺激が離れていく。
中途半端に取り残された熱がぐずりと疼いた。


「エミリーを呼ぶかい?」
「っよ、呼ばなくていい!」

だめだ。こんなの誰に話せるの。
こんな姿誰に。


「ぁ、ごめん......大きな声出して。えと、イライが背中さすってくれたから、大じょっぅあ!」

今度はダイレクトに疼くそこを撫でられて、目の前にいたイライの腕に飛び込むようにして体を預けてしまう。

「んっふ、ごめ、ぁ......ごめ」

ぎゅうっと濃紺の服に皺が寄る。
気付いてるはずだ、ただ具合が悪いだけじゃないって。なのに彼は大丈夫だ、と私に優しく声をかけながらぎゅうと抱きしめ返してくれる。


「ひっ、ん......いら、いぃ」
「ああ。ここにいるよ」

その優しさに甘えるように顔を埋めて、夜の森のような香りを必死に吸い込んで、けれど声は抑えられなくなっていく。

ぐちっ


「っ!」

部屋に水音が響いた。
ああやだ、聞こえてるはずだ。全部彼に。
恥ずかしい。どうしよう。またいっちゃ、

「っ......はっ、はぁっ」

まただ。ギリギリで引いた熱と一緒に思考もすっと落ち着いていく。


「ぁ......わた、わたし」

ほろりと涙が使った。
それはぼろぼろと涙が溢れてくる。

「ごめ、ごめんなさい。イライ」
「大丈夫。大丈夫だからそんな泣かないで」
「イライ、わたし......ぁんっ」

ぐぱ......と穴を広げられているのが分かる。けれど私はびくびくと彼の腕の中で悶えるしかなくて。


「いら、誰か、触ってるみたい......ん、ふぅ」

縋るように顔を上げた先で、ごくりと生唾を飲み込んだ音に合わせて動く喉仏に目がいく。

「やだ、きちゃ、ぁ......」

もうこんなに焦らされてはどうしようもなくて、足の間に挟まっていた自分の手に擦り付けるように腰が小さく動いてしまう。
けれどそんなんじゃ全然足りなくて、もっと、もっと


「イライ、たすけて......こわいの。きもち、いいのに......たりないの」
「なまえ、」

いつも表情が大きく変わることのない彼が、表面的な感情しか見えない彼が、呆然としたような興奮したような顔で私を見下ろした。

「いら、っあ!や、いきなりっ」

ばふん、と勢いよく押し倒されてきていた服をめくり上げられる。下ばかりに気を取られていたけれど、その服を捲り上げた摩擦で胸の先が強く痺れた。

「はっ......もうこんなにたってる」
「や、息が......」

ふわりと生ぬるい荒い呼吸がかかって、ぶるりと体を震わせるや否や先端がぬめりに覆われる。

「んっんんん!」

生暖かく蠢く口内、先をざらついた舌がぐるりと舐めたり、ちょんちょんと先を突いたり、そして時折じゅうと吸われる。

「は、あんっ......すっちゃ、あっだめなの。かりかりし、ちゃあっ」

あいた方の手は指先で埋め込むようにぐりぐりと押し込んだり引っ張られたり、だめだ、胸だけでこんなきもちいいなんて、

(でも)

足りない。気持ちいいけど、私がずっと欲しいのはそこじゃなくて。
もどかしさにうずうずとしていると、やっと胸から銀糸のように唾液と繋がれたらイライの口がにんまりと弧を描いた。


「なまえ」
「な、に?」

口端の唾液をぺろりと舐めとると耳元にそっと近付いたイライが、くつくつと笑い声交じりに囁く。

「さっきから俺の足で気持ちよくなってるでしょ」
「......っ!!」

訳がわからなくて、視線を落とした先で確かに私はイライの足に自分のものを絡ませていて、彼の服が僅かに濡れている。それだけで十分だった。


「っだって、......だって足りないの」
「ここが?」

ぐじゅ、

「ひぅっ、ぁ、そこぉ!」

つぷ、と彼の指が一本入り込んでくる。
やっと中に来たと下腹部がきゅうきゅう反応しているのが嫌でも伝わってしまっていることだろう。


「これは1本じゃ足りないな」
「ぅんっ、たりな、いのぉっ......ああっ、ぐちゅぐちゅ、だめ、きもちぃ」
「ははっ、あーーかわいいな」

指を増やしてばらばらと与えられる刺激を甘受していると、ぬぷりとその手が引き抜かれる。
あ、と切ない声が漏れでて、彼はさっきまで蹂躙していたその穴を広げるようにじっと見た。


「はは、ひくひくしてるよ。しかもよだれまでこんなに垂らして」
「ぁ、み、ないでっ......や、足りないよぉ」
「じゃあどうして欲しい?」

そんなの、決まっている。
もっと奥まで届く、太いそれが、


「イライのっイライの早くっ」
「かわいいなぁ」

もはや羞恥などない私の頭を撫でて、くつろげた服から露わになったそれに目が釘付けになる。じわりと我慢汁が漏れ出した赤黒いそれが中に入ったら、どれだけ気持ちいいだろう。

「あっ......あ」

ぺた、と太ももに当たると熱がずるずると足の根元へ近づいて、ずるりとよだれまみれのそこにこすりつけられる。

「あつ、」
「はぁ、んっ」

滑るように撫でて、たまに先が引っかかって、その度にびくりと震える私を彼は楽しんでるみたいだった。

「ふふ、入っちゃいそうだね」
「はや、く......ああっ、中入って、」

ちゅぷ、

先端が浅く埋まる。
はしたなく喘ぐ私とは裏腹に、少し歯をくいしばるように耐えるイライ。

ぬぷ、ちゅぽっ

「あんっ、え、なんで......ひっ」
「はっ、ははっ」

乱暴に服を脱ぎ捨てながら笑ったイライは、決して奥まで入れてくれなくて、わざと音を立てながら入れたり離れたりを繰り返すばかり。
ちゅぷ、と埋められるたびに収縮を繰り返す私の上で彼が乱暴に額の汗を拭ったけれど、まだいたずらに私の胸を刺激して弄んで、


「や、いら、......イライぃっ」
「下の口、キスするたびにすごく吸い付いてくるよ。先だけでこれじゃあ、奥まで入れたらどうなっちゃうんだろうね」
「ぁ......お、く」
「ねぇ、欲しい?」
「ひんっ」

舌が首筋を這って耳裏まで到達する。
はぁはぁと、彼も興奮した犬みたいな呼吸をしているのがダイレクトに伝わって余計にお腹の奥の方が疼く。

「奥、突いて欲しい?」
「ひゃ、んっ!ほし、ああっあ、あんっ」

吐息交じりの声と同時にじゅぷ、ともう少し深くまで中に入ってくる。けれどまたそれは外へと動いていってしまって、あっ、だめ、行かないで。ほしい、もっと、


「イライっ、ほしい、のっ」
「どこをどうしてほしい?」
「ここっ、私の、ぐちゅぐちゅの...んっ、もっと奥の方までっ!イライので突いて、奥まで、いっぱいに、なか気持ちよくっあああ!」
「はっ、く」

ずちゅん、と一気に奥まで押入られた。
はーっはーっと肩で息をしてその衝撃の余韻をなんとか逃がそうとする間に、彼は思いきり腰を動かし始める。

ずりゅ、じゅぷっぐちゅんっ!


「は、あっあんっ......ん、ぅ」
「あ゛ーーっ、中、すっごい」
「ひっぅ、んぁっあっ!」
「はは、見てこれ。はぁっ、まだ出してないのに、ん、こんなにびしょびしょ」

繋がったそこに這わせた指を見せつけるように舐めるから、いやだいやだと駄々をこねる子供のように顔を振って視線を逸らす。

「こら、」
「ぇ、ひぅんっ!」

逸れた視線が気にくわないのか、一度動きを止めた彼は私の両足を掴んでぐりぐりと壁の奥の方を擦り上げる。


「ははっ、すごいな」
「んんん!!お、くっ......奥だめぇっ!」

じゅぷじゅぷと音のしていたそこは押し付けるような動きになって少し静かになったけれど、私の中に響くものはさっきから何も変わりも優しくもなってはくれない。


「この、辺り......かな?」
「あぅっ、や、はぁっ......んん!」

お腹の少し下の方をするりと撫でた手
絶対あり得ないはずなのに、中と外から触れられているような感覚に思考がぐちゃぐちゃに絡み出した。
怖いほどの快楽に突き落としている張本人に、縋るように腕を伸ばす。

「なまえ、?」
「いら、いっ」

体のほとんどを覆う衣装からいつもちらりといやらしく覗いていた首もとに腕を回して引き寄せれば、少し汗ばんで濡れた髪と、けれど頑なに隠された目元が近付いた。

「ん、」

その目元にひとつ、そして首元にも、口付けを落とす。なんだか満足感がじわりと湧き出してきて少し余裕が生まれた私は、その余裕が満足感だけではなくて追い立てるものがなくなったからだと気付いた。


「いらい?」
「......」

嫌なことをしてしまっただろうか、と。口をへの字にした彼に不安がよぎる。

けれどイライの指が私の唇をなぞるように動き顔を近付けられたから、私はそんな不安は何処へやら、そっと目を伏せた。


「ん」

薄い綺麗な唇だなと思っていたけれど、触れ合ったそれは思ったより柔らかく沈み込んだ。ふ、と息がかかってふるりと体が震える私をさらに抱き込むように頬を覆われてまたぱくりとあいた口が降ってくる。

「んぅ、ふっ......」
「んっ!」

ぬるりと絡まる舌に全身に走った痺れ、そしてきゅうきゅうと中に入ったままのそれを締め付けてしまったのかイライが耐えるような声とともに口を離す。

「悪い子、だな......っ」
「は、はぁっ、だって、イライが」
「でも感じてるのはなまえだろう?ほら、」

ずぷずぷとギリギリまで抜けていくその刺激に腰がひくひく揺れて、ずちゅんっと勢いよく押し込まれる。


「〜〜〜〜っ」
「一回出しちゃおうか」
「あっん!いら、あっあっ、ひぅ」
「ああ、ああっ、気持ちいいよ。分かるかい?」
「ひぁうんっ!わか、わかんんっ、だ、奥......!ひっああっ」
「中で、はっ......そんなにはしたなく吸い付いて」

ずぷっ、ばちゅん!ずちゅ、

大きくなったそれは出入りするだけできつくしまる壁を押し広げるように擦り上げて、奥へがつんと衝撃を与える。


「ん、んっ、ふ......あ!?」
「はっぁ、くっ」

じゅぷじゅぷ考えられないくらい激しい水音の中で、何かが奥の方でハマるような感覚がした。強く声が漏れたのはお互い同じで、


「子宮が降りてきた、かなっ......はっ、くそ」
「や、らめっそれだけはっ......きもち、ああんっよす、ぎてぇ......あ!あっ、ああっ!」
「いちばん、おくに、はっ...ぁ、ぐ!!」

じゅぷん、ばちゅっ、
どんどん早く強くなる勢いのままに先ほどの場所を何度も突かれる。

やっと、やっと気持ちよく、
そんな気持ちとあまりのよさに壊れてしまいそうな恐怖

「ひんっ、あっいら、イライ!ああっ」
「ああ、いきそうっだ、」

まるで発情期の動物みたいに腰を振って、汗が散るのも気にならなくて、だらしなくよだれを垂らして喘ぐだけ。
どんどん高まっていく中、不意に突かれた拍子にぴったりと、奥の、さらにその先の穴に先が埋まった。

ぬちゅっ、

「っあああ〜〜〜っ」
「はっ、で、る......!!」

はまり込んだ瞬間、頭がはじけてぎゅうと膣に力が入る。ぱちぱちと弾けるそれがおさまり始めた頃に、イライの中で溜まりに溜まった白濁がどろりと中に流れ込んでいく感覚がした。
じわりと広がる生暖かさ、そしておそらくはすっぽりと子宮口にはまったまま中出しされているという背徳感、

ずりゅ、ぬぷ、ぐじゅ


「ぁっ、だめ、まだ」

余韻に浸っているイライが絞り出すように軽く腰を動かして私の中で扱くけれど、イったばかりなうえにぴったりとはまり込んだ膣にその刺激はあまりにも毒だ。

「ぁっ、そんなに締め付け、くっ」
「んっふ、ぅ」

全然硬さのおさまらないイライのそれが逃げるように外へと出て行く。
ちゅぽん、と子宮口から外れた拍子に腰が跳ね、そこからぴゅっぴゅ、と浅いところで漏れた精液がこぷ、と穴から溢れ出た。


「ああ、浅かったか」

ぐちゅ、

「ひっあ!」

残念そうな声とにまにまと笑う顔
何も噛み合ってないイライはぬるりと垂れるそれを掬い上げ、中に戻すようにその指を押し込み、手前の壁に擦り付けるようにグリグリと動かす。


「ぁ、んんっ」
「さて、次はどうしようか」

荒い息のまま汗を吸い込んだ目隠しを放る。
澄んだ色の瞳に思わず一瞬、何もかも忘れて吸い込まれそうになった。


「イライ」


手を伸ばすとそれは指を絡めながら握り返され、深い口付けの中また体は沈み込んでゆく。


(あれ、そういえば私、なんでこうなって)


もっと違うものに苛まれていたはずだ。
それなのに、


じゅ、

「んっんぅ」
「俺がいるのに、考えごと?」

戒めるようにぬちゃりと絡んだ舌先を食んだまま吸われる。
そうだ、イライがいるんだから、


「なんでもないから、もっとちょうだい?」
「ああ。仰せのままに」


綺麗な弧を口元に浮かべた彼が脱ぎ捨てた服の下でいたずらに弄んだ物に気付くことなく、それがなんなのかも分からないままにまた、くしゃりとシーツに髪を散りばめた。




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